親知らず(左奥。一部わずかに歯肉を割る程度。ほとんど埋まっています)が腫れ て、あごが痛くなったり、耳のほうまで痛くなったので歯医者さんへ行くと、わずかに歯肉を割っている部分から菌でも入り化膿したのだろうということでした 。

治療していただき、今は腫れもひき、痛みもないのですが、抜歯をすすめられています。

歯医者さんの説明では、残しておくと、
@歯肉を割っている部分はごみがたまりやすく虫歯になりやすい
A放置しておけば疲れているときや抵抗力が弱くなっているときに、再び腫れて痛くなることもあるだろう
ということでした。

ただ、抜歯もむずかしいらしく1時間以上かかると言われ(歯を砕いての抜歯にな りそうです)、大丈夫だろうかと不安もあります。また、腫れて痛みのあった時期に、あごや耳まで痛かったので、 抜歯によってあごや耳(の神経)が痛くなることはないだろうかと心配です。 抜歯による後遺症はあまり聞かないのですが、大丈夫なのでしょうか。親知らずは早めに抜いたほうがいいとも聞きますし、歯医者さんの説明通り抜いておいたほうが良いとは思うのですが、やはり抜くべきでしょうか。

親知らずは、正常に生えていて、機能している場合は問題ありませんが、異常な生え方によって様々な障害になることがあります。

通常抜歯によるリスクよりも、抜歯によってもたらされる歯科医学的効果が大きい場合は抜歯対象になります。

不正な親知らずは、顎関節症や、繰り返し起こる親知らず部分の腫れ(智歯周囲炎)、歯列不正の誘発、口腔内衛生環境の悪化促進、歯周病の促進、口臭の原因、等を引き起こす可能性があります。

繰り返し起こる親知らずの腫れは、しばしば、蜂巣織炎(その周辺の筋肉組織に、急速に広範囲に炎症が広がる)を併発したり、さらには、骨膜炎を併発することがあります。このようなケースでは、重篤な状態になり全身管理の元での治療が必要になります。(重症例では入院加療が必要になることもあります)

一方、抜歯による障害(後遺症)ですが、下の親知らずでは、下顎管に、抜歯による一時的ダメージがあると、抜歯後にしばらくの間、麻痺(感覚麻痺)が残ったり、開口障害が出ることがありますが、抜歯後の傷の回復に伴い治癒します。
また、抜歯後はしばらく開口障害(口が開きにくい)がありますが、これも、治癒と共に治ります。

抜歯後に出血が止まらないケースや、術後に細菌感染すると熱が出たり、痛く腫れたりします。また、抜歯した穴にある、血餅を誤って吸いこんだりすると、抜いた穴の中が乾燥状態になり、しばしば鋭い痛みに襲われることがあります。抜歯後は安静を図り、消毒など清潔の保持と感染防止の為のお薬を確実に決められた方法で服用することなど抜歯後の注意をよく守ってください。

先生の助言は正しいと思います。先生が抜歯を勧められるなら、その先生は、親知らずの抜歯を自信を持って出来る先生のはずですから、抜歯してもらったほうがよいでしょう。

通常、親知らずは張れて痛い時には、抜きません。
いったん、抗生物質や消炎剤で、現在の腫れや痛みを取り除いてから抜歯します。したがって、薬で一時的に治っているかのように見えても、再発することが多いです。
消炎鎮痛している状態で、抜歯に臨まれたほうが、患者さんも楽だと思いますが。

また、抜歯時期は、もし、よく腫れると言う事であれば、再発が考えられますので、状態の良い時に早い目に抜かれることをお奨めします。
特に女性では、妊娠前に抜歯されておいたほうが良いです。妊娠中に親知らずの抜歯は、母子ともに負担がかかり、妊娠時期によっては危険を伴うことがあります。




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