私は、虫歯の治療のため上の第1小臼歯を抜きました。主治医の話では、「イン プラント」、「ブリッジ」、「そのままにする」のどれにしますか?とのことでし た。ほんだ先生のQ&A「失った奥歯の悩み」などほんだ先生の患者の身になったご回答 を参考にさせていただきまして、私は「ブリッジ」を選択しようと思っています。
第1小臼歯を抜歯した場合、犬歯と第2小臼歯を土台としたブリッジにするのが 通常のような気がしますが、第2小臼歯と第1大臼歯を土台としたブリッジは可能で しょうか。その欠点はあるのでしょうか。ほんだ先生ならどのようにされるでしょう か。
私の第2小臼歯と第1大臼歯は多少の虫歯の治療歴があるものの、犬歯は無傷な のです。犬歯を義歯にすると硬いものや、噛み切るのに不安なのですがどうでしょう か。

ブリッジの設計には、いろいろなことが配慮されなければいけません。
全体的な歯並びと、それに伴う生理的習慣的な噛みあわせ、残っている歯の状況、歯周状態(歯周病の進行度)、土台となる歯への力学的負荷、欠損部位、審美的問題、装着後の影響、等を配慮して設計します。
通常第1小臼歯(4)を抜歯を抜歯したっ場合、力学的に可能な設計として、次のような設計が考えられます。

側切歯を2、犬歯を3、第1小臼歯を4、第2小臼歯を5、第1大臼歯を6と表記し、{ }を、土台にする歯 「 」内は失った歯のダミーの歯と表記します。

A.{2}{3}「4」
B.   {3}「4」{5}
C.    「4」{5}{6}

の3通りが考えられます。これ以外にも、土台の数が増えれば増えるほど安定します。
AとB.の方法は健全な前歯を削り被せます。Cは健全な前歯を温存し、後ろの歯を土台にします。
このうち、土台に使う歯の安定性(骨植状況)が同じ場合、最も力学的に安定したタイプはBでしょう。
逆に、力学的に不安定なのはAとCです。
AとCを選択する時はAの場合 5 に土台として使えない何らかの理由、またCを選択する時は 3 に土台として使えない何らかの理由があります。
あるいは、それぞれの、一見健康そうに見える歯をあえて使った方が、利点がある場合です。(例えば、歯周病歯どで、動揺があり、固定的目的であえてAのケースを選択するとか・・)
さらに、もともとの、咬合関係に異常がある場合は、修正する意味で、あえて 安定的なBを選択せず、Aを採用ししたりします。専門的には、さらに多くの要因を考えます。

このように、設計はバリエーションがあり、担当医が審査して、よりよい設計を考えます。
したがって、実際の状況を見ない限り、なんとも言えないのが実際です。

犬歯を土台に使うことの不安ですが・・それは、ほとんど無視できます。
最も安定した犬歯を土台として選択する以上、それだけの、メリットがあるから選択する訳です。
確かに、犬歯は、噛みあわせには、最も重要な働きをしています。顎の動きを決定付ける歯だからです。
また、歯の寿命としても最も長い歯です。
しかし、もし、見た目に異常がなくても機能的な不備がある場合、それ以外の設計よりもメリットが多いと考えられる場合は、同時に修正することもあります。
健全な(見た目に)犬歯を土台に使ったからと言って、その設計が、しっかりとした歯科学的根拠の上に設計されたものであれば、何ら問題はないと思います。



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