年齢 53歳 たいした、症状とは考えていないのですが、ときどき気になりますのでメールさせていただきました。 ここ、2ヶ月前位から下の味覚が甘酸っぱく感じる時が多くなってきています。 特に、甘酸っぱく感じる食べ物を食べなくても症状があります。お酒は多く飲む方です。毎晩ビール1本 酒 2合位通常の血液検査ではいつも以上ありません。 やはり、一度口腔科にみてもらった方が良いのでしょうか。 医学的病気の症状のケースとしてあるんでしょうか。 お忙しいと存知ますが宜しければご指導お願い申し上げます。 |
味覚異常の前兆ではないかと考えられます。
味覚は、食べ物や飲み物などが唾液よって溶解され、舌の表面の味蕾(みらい)という器官で、感じ取ります。その後、大脳の頭頂葉下部にある舌の体性感覚領に刺激が伝達されて、「あじ」という感覚が確認されます。 味がおかしい場合、この味覚の伝達経路の異常と、唾液の性状、性質の変化、量の不足の両面を考える必要があります。 ただ、よく観察しますと、味の異常に伴いほかの症状も併発していることが多いので、注意が必要です。 @食欲不振を伴う場合 脳圧の変化、分裂病やうつ病などの精神的疾患が疑われます。特に最近では、うつ状態による味覚異常がかなりあります。また、精神的な問題がない場合は消化器系の病気が疑えます。 A嗅覚障害(臭い感覚もおかしい)を伴う場合 過去に、頭部の外傷があった場合、第三脳室側壁障害の可能性があります。もし、外傷がない場合は、ヒステリー性の味覚障害の疑いがあります。 B片側性の味覚障害(右側だけとか左側だけに起こる) 一般に耳の手術や外傷の経験があった場合は、、鼓索神経の切断や、頭部外傷、頚静脈孔症候群等の可能性もあります。これらの障害のない場合は、顔面神経麻痺も考えられますが、この場合は、味覚障害ばかりでなく、特徴的には顔面が片側だけダラッとした麻痺が起こります。 C全身疾患の前触れ 内分泌、消化器、血液、急性熱性疾患、薬物中毒、ビタミン欠乏などの可能性が考えられます。 血液中の亜鉛不足はよく知られています。 D唾液腺の局所的な原因による味覚障害 口腔乾燥症や、放射線照射による、口腔乾燥の可能性があります。 口腔乾燥がないとすれば、口内炎、辺縁性歯周炎(歯茎の周りからの歯周病)、入れ歯や、金属補綴物や充填物の味による場合があります。 E唾液腺に異常なく、他の要因も考えにくい場合 精神的心因性の味覚異常があります。 総合的判断とアドバイス: 年齢的には、よくある訴えだと思います。 加齢的な唾液分泌の低下による唾液量の減少、および飲酒による唾液不足・口腔内乾燥が考えられます。 飲酒量を控えめにして、なるべく水分を補給(できれば緑茶など)され、夜間、お風呂に入られるときに、なにもつけずに唾液だけで歯を磨くことを励行してください。 食事としては、緑茶、豆類、しいたけ、のり、貝類、牛乳、ほうれん草などをとるように心がけてください。 それでも、味覚異常が変化せずに、ひどくなっていく場合は、大学病院の口腔外科もしくは、耳鼻咽喉科「味覚障害外来」を受診してください。 |