1つ質問があります。
我が家に現在生後2ヶ月の乳児(女の子)がいます。一人目の子供です。 「子供の虫歯は親からうつる、もらう」とのことで、子供を虫歯にしたくないため、口移しでものを与えたりはしないつもりです。 これは何歳頃まで続ければいいのでしょうか。ある年齢ではもううつらなくなると聞いたことがありますので。 もしわかれば教えていただきたいのですが。 |
虫歯菌は、口移しなどによって親の口から、子供の口に垂直感染していくと推定されていますが、それほど気にすることはありません。
感染症学的見地からすると、殆ど問題にならないと考えます。 それより、もっと大切なことがあります。 人は、出産と同時、すなわち、胎児から破水して、産道に達した瞬間から、様々な細菌や微生物に暴露されていきます。 また、細菌や、微生物の感染を受けながら、同時に生きていくために必要な免疫力をつけていきます。 一方で、様々な細菌・微生物と共存し協力しあったり、恩恵を受けてながら、正常な営みができます。細菌や微生物との共存なくして生きていくことは不可能です。 虫歯菌は、通常誰しも口の中に常にいる菌の一種です。どこから由来するのかは、はっきりとしたことはわかりません。 たとえ口移しに、物を与えなくても感染する機会はいくらでもあります。 親の目の届かないところで、他人の唾液に接触する機会はいくらでもあるからです。 また一方、口移しで食べ物を与える習慣は、動物学的にはごく当たり前の事です。 ひょっとすると、情操的教育レベルでは精神発達上必要な事かもしれません。 小児は口唇期と呼ばれる精神発展段階があり、どうしても口唇による接触が精神発達上必要な時があります。 これが十分に行われないケースでは、欲求不満に陥ることが知られています。 他の哺乳類や霊長類では、当然の事ですし、ヒト科においても例外ではないと思います。 口移しにより、スキンシップも計ることもでき、愛情も深めることもできます。 また、かわいい赤ちゃんなら、だれでも親なら口づけしたくなることでしょう。 このようなスキンシップは親にも子供にも、ある程度必要です。 結局は、親の口腔内の状態が問題になるわけです。 親が、しっかりとした歯科的知識を身につけ、口腔内ケアーを行っていれば、口移しでも問題はないと思います。 たとえ、口移しをしなかったとしても、虫歯菌の感染は避ける事はできないでしょう。 仮に、口移しをして、虫歯菌が赤ちゃんの口腔内に進入したとしても、虫歯菌が子供の口の中で定着し増殖しない限りは虫歯菌の感染が成立しません。 外部から進入してくる虫歯菌が定着できないような、子供さんの口腔衛生環境を子供が自立して自己管理ができる6才くらいまでの間は、親が歯科教育と並行して管理していくことが、とても大切になります。 常に子供さんの口腔衛生に気をつけて、管理をしてあげるなら、口移しについてそれほど神経質にこだわることもないと思います。それが自然の節理だと思います。 もっと大切な事は、乳幼児や子供さんの口腔衛生に気をつけると同時に、御両親の口腔衛生にも気をつけ子供の成長に伴い、しっかりとした口腔衛生教育と習慣を身につけさせていくことが大切です。 親の口腔衛生レベルは、確実に子供さんは引き継ぎます。(特にお母さん) 虫歯や、歯槽膿漏は遺伝すると考える人が多いですが、そうではなく、親の口腔衛生習慣や関心度が子供さんに伝えられていくと言うことです。 したがって、「これは何歳頃まで続ければいいのでしょうか。ある年齢ではもううつらなくなると聞いたことがありますので。」と言う質問も意味のないように思います が・・・ |