こんにちは、お忙しい中恐れ入りますが質問があります。 歯槽膿漏の治療は保険適用外なのですか? 歯石除去は保険適用外ですか? 今、歯医者に通っている30歳のOLです。 今日精密検査を行いその結果ひどい歯槽膿漏と診断されました。 (詳細は来週に説明するそうです。虫歯はありません。) まず治療として、歯と歯茎の間にある歯石をきれいに取り除くことをやるそうですが、問題はこれに保険がきかないといわれました。 先生のHPを拝見いたしましたが、歯周病の治療法についての説明はちゃんとされました。 口の中を6分割ぐらいに分けて、麻酔をして歯茎の中をきれいにするそうです。時間にして1回あたり1時間くらいです。 そして治療費は1回あたり8000〜10000円といわれました。 これは妥当な金額ですか? 「保険はきかないのですか?」と質問をしたら、保険は歯茎の上についているものしか適用されませんとの回答でした。 ちなみに私の歯茎の深さは深い所で10mmありました。そして全体的に6〜8mmくらいの深さです。 そしてさらに歯茎を切開して手術をした場合はもっと高くなると言われました。 HPをよ〜く読みましたが歯石除去は保険適用とかかれてあり、そうすると今通っている歯医者はなぜ保険が利かないと言うのでしょうか? ここの歯医者はきちんと検査を行い(ただし9000円と高かったけど)、検査の結果によって治療方法をいくつか考えて患者がどれにするか選ぶという診療内容で、信用できそうなんですがとてもお金がかかりそう不安です。 |
歯周治療はレーザー治療を除いて、高度な歯周外科手術に至るまで全て保険が適応です。 ただし、自由診療でも歯周治療を行いますが、特殊な治療や手術を除き内容的に異なる物ではありません。 簡単な歯石除去から、歯茎の中の歯石を取ったり、高度な歯周外科(手術)を含め、さらには、病状が安定した後の管理まで保険が適応されます。 一応参考までに、歯周外科手術を含めた治療のモデルと、料金について書いておきま す。これらの保険点数は、もうすぐ改訂されますが、殆ど変わらないと思います。 >保険がきかないといわれました。 その医院だけでの話です。正確には、一般には保険が適応されますが、「その医院では保険での診療はしません。」もしくは「したくありません。」という事でしょう。 でも、保険医でありながら、保険でできる診療を拒否する事は違法行為にあたります。(保険医としての義務に反します)それで、そのような言いかたをされたのだと思います。 もう一度、確認してみてください。必ずできます。 >口の中を6分割ぐらいに分けて、麻酔をして歯茎の中を きれいにするそうです。 それは正しい、しっかりとした方法であると思います。 >治療費は1回あたり8000〜10000円といわれました。これは妥当な金額で すか? それは、自由診療なので、患者さんが納得すればいくらでもかまいません。ただ、保険はきかないと言って、患者の無知を利用して、自由診療にしてしまうのは、技術がどうであれ詐欺的行為と思いますが・・・どうでしょう? >私の歯茎の深さは深い所で10mmありました。そして全体的に6〜8mmくらいの深さです。 かなり、中等度以上の歯周病ですね。歯周外科も必要なケースですね。 >歯医者はなぜ保険が利かないと言うのでしょうか? いくつかの可能性があります。 その先生が、保険医でない(保険診療を行う資格を持っていない)可能性があります。保険診療は、認定を受けた資格を持つ保険医以外の歯科医はできません。その場合、看板に各種保険適応などの表記があるはずです。 いままでの治療は、保険治療だったのでしょうか? もしくは、保険医ではあるけれど、保険で行えることを知らない。(勉強不足、あるいは、間違って覚えている・・その場合は教えてあげてください。) 保険で行える事は良く知っているが、患者は知らないと思って騙している可能性。 保険で行える事は知っているが、保険のような安い金ではやりたくない、あるいは経済的にできない、と言うポリシーを持っている。その場合、健全な運営では、その旨を患者に説明し、同意を得なければならないでしょう。 私も、途中の神経治療までは保険でしてくれて、これから先の被せは、自由診療でないとやらないと言われて、その後、保険で被せをおこなってくれる歯医者を点々として探したことがあります。その時は、歯医者がみんなペテン師に思えましたが・・・ これは、患者に不信を与え、歯科医療全体に不信を抱かせる行為で、社会的にもルールー違反でこんなことがまかり通ること自体許せないと思います。また、そのような行為に、なんの罪悪感も感じない事は、ある意味で恐ろしいことです。 >検査の結果によって治療方法をいくつか考えて患者がどれにするか選ぶという診療内容で、信用できそうなんですがとてもお金がかかりそう不安です。 インフォームドコンセントは、自由診療だけあって良くできているのではないでしょうか?高い金を取るんだから当然です。 でも、保険診療でもその程度は行っていますが・・・・ただ、品物を選ぶのではないので、治療方針は歯科医学的根拠に基づくもので、患者さんの選択による方針の選択はなんとなく理解できないのですが・・・金次第で、治療方針が異なると言うことでしょうか?そうだとしたら、病態を診断しているのではなく、患者さんの、経済力を診断しているのでしょうか? 根本的治療に松・竹・梅もないような気がするのですが・・・ ただ、補綴物なら、方法の選択はいくらもあり、金額と付加価値が異なるので患者さんの選択の余地があるように思いますが・・・ たいがいは、歯周治療後に補綴物のやり直しがあります。当然ですが、そのような医院では、補綴も高額の治療費が必要になります。 >保険での歯周治療について 保険で全ての歯周治療は出来ますが、時間がかかり、歯科衛生士が必要となり、おまけに保険点数が低いので、きちっとしていただけるところが少ないのが現実です。 ただ、自由診療では、やってもらえるところがあります。その場合は、保険が利かないなどと虚偽の説明を患者にして騙して自由診療を行うような姑息的なことをせず、堂々と、医院の方針として自由診療で行うことを説明すべきです。(決して悪い事ではないのですから) これが、医療不信を招く最大の原因で、日本の歯科は、なぜこそこそするのか、良く理解できません。最も、まともな歯医者さんも多いと思いますが・・・ 悪徳歯科医に騙されない為には、患者は治療のみならず、保険の仕組みについても良く理解を深めておかないと、トラブルのもとになります。 多くのトラブルは、姑息的説明、虚偽の説明が原因であることが多いです。 歯周治療の料金モデル(参考) 平成12年3月末日現在(毎年若干の変動があります) ー参考書からの引用ですー 右下4〜7(奥歯部分が外科を対象とする重度の第3期歯周病 P3) その他の歯は(中等度の第2期歯周病 P3)の、モデルケースの場合です。 1点10円・・3割負担の場合 端数は切り上げています。 (1日目) 初診:186 オルソパントモ(口全体のレントゲン):374 右下4〜7の部分のレントゲン1枚:26 上下の型を採った(咬合を調べるための模型):50 歯周基本検査1:200 口腔内カラー写真撮影5枚:50 P基管(プラークの付着状況の説明など):80 左奥歯部分上下のスケーリング:60+40=100 合計:1066点 患者負担:3200円 (2日目) 再診:38 P処(軽い消毒):10 上下の前歯部分のスケーリング:60+40=100 合計:148点 患者負担:450円 (3日目) 再診:38 P処:10 右上奥歯上下のスケーリング:60+40=100 合計:148点 患者負担:450円 (4日目) 再診:38 P処:10 歯周基本検査2:100 左下奥歯(4.5.6.7)の歯茎の中の歯石を除去・麻酔もします。(SRP):60×4=240 合計:388点 患者負担:1170円 (5日目) 再診:38 P処:10 左上奥歯(4.5.6.7)のSRPと、麻酔:60×4=240 合計:288点 患者負担:870円 ・・・・・ここで、月末を迎えたとします。 その月の保険点数:2103点 患者負担:6310円 2月目 (6日目) 再診:38 P処:10 P継続管理料(月が変わるたびにいります。口腔衛生指導を受けます):150 右下奥歯(4.5.6.7)麻酔をして歯周ポケット掻爬(P-Cur)(駄目な組織とともに歯茎の中の歯石を掻爬して取ります):60×4=240 お薬を出します。 処方料:37 調剤料:4 薬剤情報提供料:7 頓服:4(薬の種類により異なります) 合計490点 患者負担:1470円 (7日目) 再診:38 P処:10 右上奥歯(4.5.6.7) P−Cur :60×4=240 頓服:4 処方料:37 調剤料:4 合計:333点 患者負担:1000円 (8日目) 再診:38 P処:10 上の前歯部分6本をSRPした。麻酔もした。:60×6=360 合計:408点 患者負担:1230円 (9日目) 再診:38点 P処:10点 下の前歯部分6本をSRPした。麻酔もした。:60×6=360 合計:408点 患者負担:1230円 ・・・・・・ここで、この月も終わりました。 この月の 合計: 1519点 患者負担:4560円 3月目 (10日目) 再診:38 P処:10 P継続管理料:150 歯周精密検査:400・・(精密検査は、前回までの検査より項目が多く、概ね外科を 行う前に行います。したがって、点数も高いです) 実地指導(衛生士によりブラッシング指導など、実地指導を受けます):80 右下奥歯4本に対して歯肉剥離掻爬手術をおこなう。:600×4=2400 麻酔をして5針縫合。 薬:101(内容により異なります) 処方料:37 調剤料:7 薬剤情報提供料:4 合計:3227点 患者負担:9690円 (11日目) 再診:38 P処(消毒):10 合計:48点 患者負担150円 (12日目) 再診:38 抜糸 P処:10 合計48点 患者負担:150円 (13日目) 再診:38 P処 経過観察:10 合計48点 患者負担:150円 (14日目) 再診:38 P処:10 手術部分の評価検査:50 合計:98点 患者負担:300円 この月の合計 :3519点 患者負担:10560円 ここで、月が変わります。 4月目 (15日目) 再診:38 P処:10 P継続管理料:150 歯周精密検査3:200 右上奥歯2本にペリオクリンという薬を注入した:71 合計:469点 患者負担:1410円 (16日目) 再診:38 P処:10 右上奥歯2本にペリオクリンという薬を注入した:71 合計:119点 患者負担:360円 (17日目) 再診:38 P処:10 右上奥歯2本にペリオクリンという薬を注入した:71 経過良好 合計:119点 患者負担:360円 (18日目) 再診:38 P処:10 右上奥歯2本にペリオクリンという薬を注入した:71 経過良好・・終了とする。 合計:119点 患者負担:360円 この月の合計:826点 患者負担:2510円 だいたい、以上のような感じです。このケースでは、一部部分に歯周外科が適応されているケースで、歯周病も状態により、治療は異なります。 ここで行われた、歯周外科手術以外の手術ももちろん保険適応です。 |