実は、20年前に虫歯治療した左上顎の第一小臼歯に一年半ほど前に新たな虫歯が発見され(歯の根元から出血がきっかけでした。担当歯科医は「原因は分からない。どれだけこの歯がもつのかも分からない」と言いました。)、再び治療してもらいました。そして、一年近くが立った今年一月、別の歯科医院で受診した際、歯周病が進行していると診断されたのです。

 そこで、一年半ほど前に付けてもらった樹脂製の被せ物(専門的には何と言うのか知りませんが)を削除し、歯石を取り除いて、再び樹脂製の被せ物(保険適用外で2万円しました。)を付けてもらいました。

 しかし、治療が終わって「やれやれ」と思ったのもつかの間。治療後数日して、この歯が指で押すとぐらぐら動く事に気がついたのです。これはショックでした。治療してくれた歯科医院に飛んでいって原因を尋ねると、「歯周病で歯槽骨が少なくなってしまったからです」。「どうしたら良いのか」と哀訴すると、「もっと悪いと左右どころか上下にもぐらぐらするんですよ。これ以上悪くならないように、きちんと歯の管理を続けていきましょう」とおっしゃいます。今から一月ほど前の話です。

 それ以来、毎日の歯磨きの回数を、4回にしました。また、手磨きに自信がなかったので、歯ブラシは電動歯ブラシに変えました。

 ところが、二三日前から件の歯の辺りからの口臭が気になるようになり、その根元を指
で押してみると出血する事も確認しました。素人判断ですが、歯周病が進行しているよう
です。

 もちろん、掛かり付けの歯科医院を近日中に再訪するつもりですが、歯科医療に対する不信感が私にもあるのです。まともな歯科医療とはどのようなものか原体験が欠けているのですから、これは仕方がない事だと思います。そこで、貴兄にお尋ねしたいのですが、このような場合には、どのような検査と治療が最も望ましいのでしょうか。何の予備知識もないままに、身近にいるというだけの理由でたまたま選んだ歯科医師の言葉と施療を鵜呑みにするわけにはいきません。

 ご多忙のところ本当に恐縮ですが、簡単なご教示を賜りますようお願い申し上げます。

まず、歯周病はどういうものか?という理解が必要です。
歯周病は、決して病気ではなく、自らの口腔内にいつも生息する歯周菌と老化によって、衰えていく歯茎(生体宿主)との接点で起こる老化現象で、誰しも少なからず起こり得る病的状態であるという事を理解する必要があると思います。

老化現象ですから、考え方としては、病的状況をできる限り改善し、その後は、その状態を進ませないように人為的に維持し予防していかなければ、再び悪化するということを理解してください。

歯周病を進めると、自分の歯をなくし、その後の生活の質は非常に低下するのみならず、ほとんどすべての成人病を誘発していきます。

歯周病は、基本的に老化現象であるという理解が必要です。

このことの、概念に付いては分かりやすく
http://www.honda.or.jp/okuchi-kenkou/html/okuchi11.html
に解説すると同時に、歯周病に対応する歯磨きの意義について説明しています。

一般に、歯周病の検査は、個々の歯について、歯の状態(動揺の程度)。 歯石や、歯垢の付着程度。
歯肉溝(歯の回りの溝)からの出血状況、病的溝の深さ。歯茎(歯肉)の状態(腫れている程度や、組織の状態)などを一定基準にそって、評価します。(歯周検査)

その後、原因である歯肉縁上歯石(歯茎より上の歯石)を完全に取除いた後に、再度評価し検査結果に基づき必要に応じて歯肉縁下の歯石を取り、再び評価をおこなうというふうに、評価を元に原因を取り去りさらに評価する。というのが確実な方法です。

さらに、場合により、歯周病が進んでいると歯石ばかりでなく、病的な歯肉溝を形成する歯肉組織そのものが非可逆的な病態(治ることのない病的状況)になっている場
合は、精密検査を経て歯周外科を行い、また評価します。

歯周治療では、治療と治療後の評価を繰り返し行い、最初に徹底的に原因を取除くことを行います。

このようにして、最終的にもっともベストな状況を作った後も、歯周病菌は常に歯のまわりの溝の中で同居する事になりますから、歯ブラシで取れる歯垢を自分で衛生管理し、それでも、いかに上手に磨こうとしても歯ブラシだけで、歯垢を完全に取り除くことは不可能で、やがて歯磨きで取り残した歯垢は決して取除くことの出来ない歯石に発展し再び歯周病へと移行します。
したがって、良い状態を維持する為には1ヶ月〜3ヶ月以内の専門的な歯周管理が必要です。

歯周病の治療を確実に行なってもらえるかどうかの歯医者選びの基準は、これらの評価(検査)を毎回確実に行い、その都度説明を行って貰えるかどうかは、大切な判断基準になります。
もう1つ大切なのは、治療終了後において、確実なリコールシステム(歯周管理システム)を持っているかも大切です。
検査がいいかげんであったり、検査なしでいきなり、歯石を取るような歯医者は殆ど信頼できないでしょう(たとえ検査なしに歯石を取られても、料金は検査料も取られています。保険では検査なしに全ての、治療は行えないシステムになっています。)

治療終了後は、歯科衛生士からその後の家庭に於ける患者さん自らの歯周衛生管理の専門的な指導を受けておくことも大切です。(これも保険適応)

歯周病は、一部の治療を除き、全て保険適用で治療が可能です。

歯周病治療を任せるに値する歯医者選びの方法については、
http://www.honda.or.jp/okuchi-kenkou/html/manual01.html
を参照して下さい。

又、電動はブラシに付いては、その使用において、注意が必要です。
使用上のテクニックに付いては
http://www.honda.or.jp/okuchi-kenkou/html/okuchi16-0.htm
に解説していますので、御参照ください。


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