はじめまして、HPをアクセスさせて頂いた者です。 歯の治療の事で、とても悩んでいます。 良い歯医者さんを捜していて、ここへ辿り着きました。 厚かましいのは、わかっているのですが、 藁をも掴む気持ちなのです。 どうか教えて下さい。 2年前、少し痛む虫歯の治療をある病院で受けました。 神経をとり、中にセメント(そうおっしゃってました)を、つめて、今クリーム状のもので埋めてあります。神経を抜いているから、痛まないはずなのに、今だにその歯に触れると痛むのです。 ピーナッツなど噛むと歯の根本の頬骨の方まで、響いて痛みます。 虫歯の痛みというより骨のほうに響く痛みで、ものすごく怖いです。 中の詰め物が、直接骨等を傷つけているのではないか?と助言された事もありますが、わからないままです。 どうしたらいいのかわかりません。どうかどうかアドバイスお願いします。 よろしくお願いします。 |
質問にお答えします。まず添付しました歯の構造の図をご覧ください。 虫歯になると歯の表面構造であるエナメル質や象牙質に、虫歯菌による感染が起こり破壊され、さらに、虫歯菌は、歯髄と呼ばれる、神経管に到達します。 すると、歯髄には、血管と神経があるのですが、血液が集中するため、神経が圧迫され、ずきずき痛みます。 この段階では、(いわゆる普通の虫歯で、急に痛み出す急性歯髄炎と呼ばれていますが)ばい菌の感染が歯髄だけに限局しているので、比較的簡単に治ります。 すなわち、虫歯菌の汚染を受けた、歯髄内を消毒していきます。その際、結果として神経も取り除きます。 完全に、消毒が終了すると、象牙質を介してばい菌が進入しないように、完全に、神経管に、ポイントと呼ばれる物をつめてしまいます。(根管充填=根充) さて、この時ずさんな治療を受けていたら、どうなるでしょうか? たとえば、神経管の消毒が不十分なばあいは、神経管(歯髄腔)にばい菌が閉じ込められたままになります。あるいは、根管充填が不十分な場合、やがて閉じ込められていたばい菌は、しばらくして増殖を繰り返し、根っこの先から外に出て行きます。 根っこの先の外は、歯槽骨と呼ばれている骨ですが、そこが、ばい菌による損傷を受け、炎症(血液が集まってそのばい菌と戦う)が起こり、炎症の結果、根っこの先に膿袋ができたり、(根尖病巣、歯根膿胞)根っこの周りの膜(歯根膜と呼ばれています)に、病変が起こっていきます。(歯根膜炎)実は、歯にとって大切なのは、歯の中にある神経ではなく、根っこの周りの歯根膜と呼ばれている物です。これは、噛むと言う感覚神経があります。これが感染を受けると、たとえ、歯の神経を抜かれていたとしても、噛むと痛いという現象が起きるのです。 虫歯の治療後、しばらくしてこのような現象が起こったとすれば、治療のまずさによるものと考えられます。 もうひとつ、治療のミスによって起こるケースは、神経管の長さを測ったり、神経管を取り除き、掃除するために使うリーマー(または、ファイル)といものを、使いますが、この操作の時、誤って、神経管を突き破ったとしたらどうでしょう? リーマーは、細菌で汚染しているために、根っこの先にばい菌を突っ込むことになりますし、ゆくゆく根尖病巣を作るようなものです。この場合も、同じような噛むと痛い現象が起こります。段段、悪くなっていきます。 さらに、治療ミスで起こる場合、リーマーを神経管に入れて操作していて、無理な操作をしたり、リーマーが金属疲労していたりすると先端が折れてしまう事があります。通常これは、すぐに取り出します。これが取り出せなかった場合、また、根管充填剤(根っこの詰め物)が根っこの先から溢れ出したままになっている場合も、噛むと痛いというような事が起こります。 以上は、あくまでも、虫歯(急性歯髄炎=治療を受ける前は、完全に神経が生きていた場合)の場合で。ほとんどが治療ミスによって起こります。 患者さんは、治療直後は、鋭い痛みから、開放され気がつきませんが。後日(数日から数年)このような、噛むと痛いという現象に襲われ、段段症状はひどくなっていきます。 次に、虫歯を放置しておくと、最初は、とても痛いのですが、やがて、神経が死んでしまうと痛くなくなってしまいます。こうなると、歯髄に進入した、虫歯菌などのばい菌は、歯髄内で分裂増殖し、あふれかえり、ついには、根っこの先から、外に出て、歯根膜に炎症をもたらしたり、歯槽骨への炎症の波及となり、病巣は拡大し、噛むと痛いという現象が起こります。上と同じ現象ですが、こちらの方は、治療ミスではなく、虫歯を放置しておいた場合です。この場合は炎症の範囲は広いでしょう。急に痛くなる場合、急性歯根膜炎、ゆっくり起こる場合を慢性歯根膜炎と呼ばれています。 このような場合の治療は厄介で、完全に治ったと判断してかぶせまでしてから、噛むと痛いという症状が再発したりすることがあります。、完治したという判断が、難しく、その判断ができにくいために、治療日数もかかります。しばしば、ほんだ歯科でも、完治の判断が早すぎたりして後日、再発した場合は、自分達の判断ミスを認め、患者さんに説明の上で、無償で再治療しています。(この場合は、我々の力不足という事で、勉強させて頂いてます。私たちも、神様ではないですから、悩みながら模索しながらやっている事もあります。) 2年前に虫歯の治療を受けられたとのことですが、本当に虫歯の治療だったのでしょうか? 虫歯で、神経を取る場合は、必ず、麻酔が必要になります。麻酔して神経を取られたのでしょうか? もしそうだとしたら、その時の治療のずさんさにより、歯根膜炎あるいは歯根膿胞(根っこの先に膿袋ができる)の可能性が考えられます。 ほとんど、こういう場合、治療ミスや手抜き治療にやって起こるのですが...確かに、神経の治療は金に成らないわりに地味で、マニアックにやらないとできません。 最初から、患者には、すぐには、わからんし適当に手を抜く悪徳な歯医者もいる反面、やろうとしても、できないへぼい歯医者も、多くいます。一生懸命やっておられるんでしょうが、神経治療をあっという間に終わらせてしまう先生には、気をつけてください。 よっぽど、うまい先生か、適当に手を抜いているかどちらかでしょう。 神経治療は、きっちりするととても時間がかかります。そのわりに保険点数が低いため、また、患者さんが来られなくなったりするため、いいかげんな治療が多いです。 治療終了後は治療後のレントゲンを見せてもらい説明を受けるようにしてください。そして、症状が消えたとしても、神経管をつめるまでは、絶対に中断しないで下さい。 ほんだ歯科では、神経の長さを測る時も、治療後も、レントゲン写真を見てもらい説明しています。 みわけ方は、根管充填後のレントゲンをよく見てください。上手なきちっとされている先生は、根っこの先まで、きっちりと、元々神経管があったところが白く写っています。(充填剤は白く写ります)、根っこの先の方に白い充填剤が入っていなかったり、(希に、神経管が閉鎖していたりして開けられない事もあります)まばらに、充填されていたりすると後日、再びこのような事が起こります。 患者さんには、わかりにくいかもしれません。 このように、歯医者に行って治療を受けても、その時の痛みは取れたとしてもさらに、後日もっと悪くなってしまうケースあり、治療後については関心を持って、説明を受けるべきだと思います。治療後に、その治療によってさらに、病気になるような事を医源病といわれています。特に歯科では、よくあるわりに、患者さんには、わかりにくいです さて、現在の症状は、かなり重症のように思われます。一刻も早く、信頼できる歯科医院を受診してください。 放置しておくと、骨膜炎など、さらに炎症の範囲は拡大していきます。しまいには、抜歯せざるを得なくなったりします。 治療方法ですが、炎症がひどいと(腫れていたり、熱を持っていたりすると)内服による消炎と同時に、神経管を開けて、腐敗したガスや膿を排出させた後(この時点で、ほとんど症状は治まります)、神経管をよく消毒し、汚染を受けた、神経管の壁や、汚染物質を除去します。さらに、根管充填のあと、根っこの先の骨の損傷があれば、根っこの先ごと外科的に取り除いたり(歯根端切除)したりして、原因の徹底的な除去後に、保存に努めますが、炎症の範囲が大きすぎたりしますと、抜歯の対象となる事もあります。 ただ、そのままにしておくと、炎症は拡大し他の歯に影響を与えたり、場合によっては、全身症状に移行する事もあり、注意が必要です。しばしば、急性に症状が出る事もあり、症状が緩やかな間に受診される事を、お勧めします。 |