ある歯医者で昨年(10月)に前歯の治療を行いました。
前歯二本共で、一方は神経を取りもう一方は神経を残したまま保険の効かない両方で16万円の歯を入れました。しかし、見た目が出っ歯になり、歯の裏を舌で触るとズレ(段がある)ているようで、舌に刺さるような感じがします。
指で触っても引っかかります。
歯の土台がスッポリ隠れるようになっておらず、後ろが浮いたような状態になっているようです。
また、そこがズレているのでそこから虫歯にならないか心配でした。
治療直後、「出っ歯に見えるのですが・・・」と言ったところ、そこの先生は「理想の歯(噛み合わせ)というものはそういうものだ」と言われました。
昨年11月に神経を残したほうの歯が多少凍みるようになり、その歯医者に行ったところ段差のある歯の部分に何かを塗られました。接着剤のような匂いのするものでした。
心配で別の歯医者に行ったところ、この治療した歯はズレており、この治療は可哀相なくらいだと・・・。また、裏側のズレている所から虫歯になるよ!と言われました。
そこで、治療を行ってくれた先生に問いに行ったところ、「この治療は正しい。その先生が言っている事が間違いだ」と言われました。
昨年末はだいぶ痛みが無くなってきたのですが、今年の1月2日に神経を残していた歯の歯茎が腫れ上がりました。
膿が溜まってしまったようです。
そこで、治療を行ってくれた先生の所に行くと、呆気なく後ろから穴を開けて神経を取られてしまいました。
これで二本共神経が無くなってしまいました。

これが今までの経緯です。
○見た目が出っ歯になっている
○治療した歯の裏に段差があり舌が刺さるようだ
○別の先生は明らかに失敗していると言う
○16万もかけたのに・・・
と言うのが悩みです。この様な場合どう対処すればよろしいのですか?


まず、基本的に、このような自費診療におけるトラブルが発生した場合の対処法について述べます。
ほんだ歯科所属の弁護士による回答です。
保険診療の場合は、法に定めるところに準拠した診療ですから、行政サイドが、介入できる余地があります。しかし、自由診療の場合、法律的にその医院(歯科医)の治療が、医学的にどう判断し、どのような治療を行なうかは、医師の裁量権の範囲となり。行政機関や、他のドクターは、立ち入ることはできません。

その上で、患者さん自身が医療過誤の疑いを持たれた場合、あるいは、納得のいかない事象が発生した場合、当事者との話し合いということになります。

これでも、納得のいかない対応があった場合。たとえ、あなたが、行政機関に訴えたとしても、行政機関は、立ち入る法的根拠がありません。

医師会にも、似たような苦情窓口があります。しかし、あくまでも、医師サイドからのトラブルに対応するわけで、患者サイドからの、中立的裁定機関でもなんでもありません。また、その医師が歯科医師会に未入会の場合は、なんら、影響を与えませんし何の権限もありません。
むしろドクターサイドに有利に展開する恐れがあります。

その判断は、司法の手に委ねるしかないでしょう。

歯科治療は、一歩間違いますと治療ではなく、傷害行為となります。誤って、健全な歯を抜いたとか、神経を取ってしまったとかの場合です。
おまけに自由診療は、成功報酬ですから、それに満足していないのにお金を払ってしまった場合、どうしようもなくなります。

その治療が適正であったかどうかは、私も、なんとも言えないのですが。(実際を見ていませんし、片方の言い分だけでは、なんとも判断できないからです。また、私には、権限もありません。)それで、その先生が、悪いということを言えば、逆に名誉毀損になる可能性もあります。

それで、次のようにしてください。
@その医院で、取り交わした、自由診療による契約書(あればで結構です)。領収書)を、保存しておいてください。また、契約書があれば、内容を吟味してください。
それから以後において、別の医院で、再治療された時の領収書。あるいは、所属都道府県庁で診療報酬明細書(レセプト)を、入手されれば、そこに、病名が記載されています。そのコピーを保管してください。その病名と、自費診療を受けた歯との、因果関係を立証するために必要です。

Aすでに、話し合う余地がないみたいですが、あなたの、疑問なり、ここに書かれているような内容、をお書きになり。あなたの要求事項:治療費の返還。あるいは、その後の治療費の返還。慰謝料。(あくまでも、正当であるかは、別にして、あなたの要求です)を、お書きになり。当事者と、話し合いの場を持つ、提案をしてください。
この手紙を、内容証明付き郵便で、送付してください。郵便局に、用紙があります。方法は、郵便局で教えてくれます。(特別な費用は、かかりません)必ず、期限を切って、返事するよう明記しといてください。

B相談に応じられる場合。示談してください。
この話し合いの内容は、弁護士の立ち会いがない場合は、念のため、できたら、小型のテープレコーダー等で、わからないように、録音しておいてください。
納得できる解決策が見出された場合、示談書を作成して文書の形で、残しておいてください。

C無視された場合、あるいは、決裂した場合は、民法上の係争となります。

次は、その方法を述べます。この法的相談の段階は上記のいずれの、段階でされても結構です。
おおむね、B,Cの段階でいいでしょう。
まず、地元の弁護士会に相談ください。
費用は5,000円くらいです。
あなたの近くの連絡先を書きます。
横浜弁護士会 横浜市中区日本大通り9 電話045-201-1881
東京弁護士会 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館4階7階 電話03-3581-2201

弁護士は、弁護士協会で紹介してくれます。弁護士に対する費用ですが、慰謝料の10パーセントもしくは、一括契約となると思います。思うほど高くないです。
裁判で、勝訴すれば何ら問題はありません。大概の場合、示談が成立します。

その後は、相手方の弁護士同士が話し合うことになります。

相手の歯科医にミスがあったか、どうかは、その後、裁判において、相手側も、証拠となる物を出してきますので、双方の正当性の判断は、裁判所が判断します。
なお、このために費やした、交通費や、タクシーなど、どんな些細な領収書も、大切に保管して、何のための領収書であったかを、鉛筆書きしておいてください。これらは、勝訴した場合相手側に請求できます。

後、こういった問題に対し患者サイドからの相談に乗ったり、支援を行なっている団体がありますので紹介します。
あなたのお住まいの近くでは、
医療事故市民オンブズマン Medio 〒163-12 新宿区西新宿6-21-1 アイタウンレピア808
Tel./Fax.: (03)5323-5260

もし、あなたが、医療専門の弁護士を紹介して欲しいということであれば、ご紹介しますが、京都にある弁護士事務所で、出張してもらわねばならない可能性があります。
後、連絡などにも、大変でしょうから、とりあえず、上記の方法で、解決策を試みてください。



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