この前予約をしようとした歯科医院で、個人の注射の針を買ってもらいますといわれました。患者さん全員が買ってるそうで2万円くらいするそうです。
こんなこといわれた歯医者さんははじめてだったんですが、この場合保険診療じゃないってことなんでしょうか?
とりあえず、買うお金もなかったので違うところにいったんですが、そこは針のことは一言も言われなかったです。

今、医療分野では、院内感染が大きな問題になっています。

病院内で、患者さんや、医療従事者を介して、病気に感染してしまう事で、医科では、その防止策は、かなり対応が進んで来ています。歯科では、こういう認識は、現場では、とても低く対応が遅れているのが現状です。また、医院によって極端に対応状況が異なります。

歯科は、基本的に外科領域に入り、最も院内感染の危険性は高いです。
問題になるのは、ウイルス性疾患で、特に肝炎、HIV(エイズ)などが問題となります。これらのウイルス性疾患の場合、キャリアーの場合患者さん自身がキャリアーである事を知らないケースがあり、見た目は、分かりません。

したがって、グローブを着用しないで行なう診療は、素手で、肝炎やエイズのキャリアーや患者さんを手術をするようなもので、きわめて危険で、ドクターや、歯科衛生士など患者さんの口腔内に触れる可能性のある職員の場合、常に感染の機会あります。

この危険性は、医者に比べて歯医者は、圧倒的に肝炎罹患率が高いと言う疫学的事実や、死亡原因に、肝炎の比率が高いことからも分かります。

さらに患者さんから、患者さんへ、ドクターや衛生士を介して、感染していく危険性が有ります。
注射の針は、さらに危険です。使いまわしや、消毒が不十分な場合、確実に患者さんから患者さんへ、感染します。
したがって、かなり厳重な院内感染防御システムが必要となります。

ほんだ歯科の場合ですと、すべての職員に使い捨てグローブの着用を義務づけ、院内の空気浄化システムは、バクテリアや粉塵が浮遊しないように、特殊な医療用空気浄化システムで、制御しています。
患者さんに使われる、治療機具や、消耗品は、歯を削るバーにいたるまで、できる限り使い捨てを使用しています。
バーは、患者さんに1回だけ使用し、使用後は、滅菌され、その日は使用しません。
これは、患者さんや職員を院内感染の危険から守るためです。また、医療専門知識に疎い、事務系職員においても、院内研修を重ね、院内感染に対する研修も行ない、職員の意識レベルの向上を図っています

このようなシステムにすると、膨大な費用がかかり、ともすれば、保険診療の場合、患者さんによっては、赤字になります。理由は、これらに関する費用を診療報酬として請求できないからです。
ただ、小さい医院だから、対応できて今いと言う事ではありません。
ほんだ歯科では、従業員が4人の時から同じシステムです。
小規模医院でも、対応されている医院は、有ります。

経費がかさむために、十分な対応が取れていないのが現実です。これは、今後、行政も含めた取り組みが必要です。

だからと言って、その費用を患者さんに請求する事は、保険診療の場合は、できません。
ましてや、1本15円の使い捨て注射針を2万円で、売りつけるとは、もってのほかだと思います。

自由診療のばあいは、コンセンサスが得られれば、いくらで売りつけてもかまいませんが...
また、そこに通っておられる患者さんが、みんな、買っておられると言うことも、信じられません。
これを、保険診療内で、患者さんから請求していたとなると不正請求の疑いが有ります。

自由診療専門の医院の場合は、問題ないです。

この、院内感染に対する経費は、患者さんからはわかりにくい、見えにくい部分の投資になりますので、最も手を抜かれる要因です。
したがって、患者さんが院内感染に関心を持って高い知識を身につけ、自己防衛していかなければいけません。



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