1才になる子供ですが、おしゃぶりの癖が抜けません。
歯の発育に悪いと聞きましたが、泣き出すとどうしても、おしゃぶりを与えます。
しかし、歯の発育に悪いと聞き心配です。
おしゃぶりと歯の発育の関係について教えてください。

おしゃぶりにしても、指しゃぶりにしても、0歳から3歳くらいの子供には、必要な行動様式です。

子供は、お母さんのおなかにいるときから、指しゃぶりすることが超音波子宮観察により確認されています。

おしゃぶりは、dummyと、英語では、表現されるように。指しゃぶりの代用品で、同じことです。
指しゃぶりも、おしゃぶりも、同じ行為です。

指と言う字は手へんに旨い(うまい)と表現されるように、乳幼児にとっては、旨いのです。
大人だって、旨いものを食べると。幸せな気分になります。

子供が、おしゃぶりや、指しゃぶりをすると、医学的には、どのようなことが起こっているのでしょうか?

火のついたように泣く子に、おしゃぶりを与えますと、脈拍が安定しきます。そのために泣く回数が減少し、やがて、精神的に落ち着き、寝てしまいます。

心理学者の権威フロイトは、人の精神発育段階で、必ず性的発育を経て、大人になっていくことを指摘しています。

この時期は、まだ男女間の性差はなく、口唇期と呼ばれる時期で、口唇の心地よい刺激により満足を得る、精神発達段階であるとしています。

またこの段階の(3歳まで)運動神経、脳神経の発達は、未完成な時期で、指しゃぶりにより手と眼と口の運動の協調運動が成立します。結果として知覚、知能、運動能力の発育に貢献しています。

通常、この指しゃぶりや、おしゃぶりは3歳くらいになると自然に子供自らやめていきます。(自然消滅)

これは、3歳くらいで、基本的な脳の発育が完成し、運動能力も高まり、知的能力も高まることにより、手足が器用になって、周囲の刺激に対し興味を持つようになるからです。
つまり、頭脳の発達によりほかのことに気を取られ、指しゃぶりをするチャンスが無くなっていくわけです。

しかし、4歳をすぎても指しゃぶりやおしゃぶりを止めない子供が稀にいます。
この場合は、悪習癖、つまり、やめさせる悪い習慣であると、言うことになります。

原因として、何らかの欲求不満や、情緒不安が考えられますので、その原因となっていることを考え、精神的なケアーやスキンシップが大切になります。

具体的には、両親、兄弟などの家族構成による変化(出産とか。弟や妹がいるとか)や、対立、葛藤、等に対するストレスや欲求不満などの心理的要因が原因です。

対策としては、子供とのふれあいのチャンスを多く作りスキンシップを計ってください。自分からやめたいと思わせる雰囲気を家族で、作り盛り上げていく。
 
なるべく、手足を使う遊びを教える。寝るときは、手をつないで寝てあげる。(習慣が取れるまで)。
 
もし、しゃぶっているのを見つけたら、叱るのではなく。やっていない時に誉めてあげる。

4歳を過ぎてのおしゃぶりや、指しゃぶりの悪影響についてですが、このころは、乳歯列が完成し、あごの発達時期になります。

おしゃぶりや、指しゃぶりは、口腔内を陰圧にしたり、指で、外力が加わるために、前歯部が前方に出てしまうような歯並びになり、それに伴って上下のかみ合わせのバランスを失い、前歯で、物を噛み切ることが出来なくなります。

さらに、口の中の天井部分(口蓋)も変形するために、サ行、タ行、チャ行、シャ行が言いにくい、あるいは、聞き取りにくい発音障害を招きます。

不幸にして、このようなことに気がつかれ、歯並びの異常に気がつかれた場合は、小学校にあがるころ矯正専門医に御相談ください。簡単な矯正治療で修復が可能です。

以上の様に、子供さんの1歳という年齢を考えると。今は、なにも心配されることなく、泣いているときは、上手に、おしゃぶりを使っていただいて、何ら問題はないと思います。

特に、初めてのお子様の場合は、経験がなく、ほかの情報によって「うちの子は遅れているのでは」と、ナーバスに心配されることがありますが、3歳までの行動様式は、ほとんどが本能的動物的行動が多いので、心配いらないことが多いです。



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