私が今行っている歯医者さんは、自費診療が中心です。最初に歯痛がひどくて行ったのですが、その時は全体のレントゲン撮影、虫歯のチェック等を行い、歯痛は虫歯のせいではないという診断を下されました。 次は検査で、レントゲン18枚、模型のための型取り、歯周ポケットの深さ測定等を行い、結果報告も含めて、自費で15,000円でした。(歯痛の原因はストレスとのこと) (所要時間全部で3時間) 次は、歯石取りとブラッシング指導で1回自費で5,000円だそうです。(所要時間1時間) それを2回ぐらいやって、歯茎の状態が良くなってから、虫歯治療に入るとのことでした。 虫歯は小さな虫歯がいくつもあり、奥歯の歯の間にあるため、型をとってつめなければいけないと言われ、保険を使わないでやると、6本で、280,000円かかると言われました。保険のものはもちが良くない、周りに隙間が出来て虫歯になりやすいと説明されました。 また、保険では出来ない検査をやっているとのことでしたが、先生のホームページを見ていると、歯石取りも本当は保険で出来るのではないかと思ってしまいます。 歯石取り段階を保険の範囲内でやることは出来ず、どうしてもという場合は診療お断りと言われました。 きちんとした治療は受けたいのですが、なんだかとても高いような気がして納得が行きません。 こういう歯医者さんは良い歯医者さんなのでしょうか。 次の診療(歯石取り段階)を受けるかどうか迷っています。 |
歯科医院は、自由診療と保険診療があるために、医院の運営形態を理解しないと、不本意に高額の自由診療を受けつづけ、トラブルを起こしたりするケースがあります。 基本的に、病気(疾病)である限り、医学的には十分な治療が健康保険で診療が可能です。 健康保険は疾病保険と呼ばれる所以です、但し、歯科矯正は一部の特殊な認定された疾患(顎変形症、口蓋裂-大学病院など認定機関で認定を受けます)を除き健康保険は適用されません。 あるいは、臓器移植がそうであるように、高度先端医療については、保険が効きません。 一般に、歯科医院は、次のような2種類の経営形態があります。 1.保険診療と自由診療を行なう医院。 どちらにウェートを置くかは、院長の経営方針によります。 この中でも、保険診療もするが途中から、自由診療に誘導していく医院。 基本的に保険診療で、患者さんの希望により、選択の一つとして自由診療を行なう医院があります。 2.自由診療しかしない医院(保険医の認定を受けていない、あるいは最初からポリシーを持って保険診療をしない先生) 保険での治療はまったくしません。全て自由診療です。保険診療希望の患者は、拒否します。(理由は、保険と自費診療の両立は法的にも不可能だからです) 見分け方は、医院の看板を見てください。各種保険適用と書いてあれば、基本的に、全てを保険で治療しなければいけません。もし、途中から自費しか出来ないと言われたら、看板に偽りありで詐欺罪に当たります。 この違いについては、行って見ないと分からないのが実態です。保険が効くと思っていたら、途中からかぶせる段になって、保険診療はしないという医院もあります。 実際に私も、このような被害を受けた経験を持っています。このような事態になると治療途中で、医院を転院するしかないです。 歯医者にかかるときは、最初に確かめておく必要があります。 一般に健康保険証を提示すれば、保険診療をお願いしますよいう意思表示になります。 注意事項として、保険診療と自由診療が同時に行われることはありません。いずれかしか選択できません。したがって、ブリッジなどで、ある部分を自由診療である部分は保険診療というようなことは違法なことです。例外として入れ歯では、一部保険と自費との混合が認められています。 自由診療になると、治療費はまったく、自由に価格が設定されます。これは、歯科医の裁量権の範囲です。 歯石を取るのに、5000円であろうが100,000円であろうがまったく良いわけです。 医院と患者さんとの間の契約になります。患者さんが納得すればいくらでもかまいません。これが自由診療の意味です。 その代わりに、患者さんを満足させる高い付加価値を必要とします。診療室がホテルのようであるとか、ゆっくりと治療するとか、きれいな、ねーちゃんがいるとか、あるいは、VIPのような、扱いを受けることができるとかです。 しかしながら、自由診療専門の先生にはポリシーを持っておられる訳で、その先生は「保険では十分な治療を行なえない、自由診療なら十分な治療ができる」と言うポリシーに基づいて治療されているわけですから、患者さんが納得し、信頼できれば良いわけです。 一方で、私も同じ意見ですが、歯科医学的治療レベルにおいて保険であろうが自費であろうが同じ水準で治療は、可能であると考えています。そうでなければおかしいと思います。このような先生も多くいらっしゃいます。(これは、私の個人的見解です) 歯石を取ることは、保険診療でも必要にして十分な治療が可能です。歯周外科など高度な専門治療も受けることができます。 歯石を取るという根拠は、そこに、病変があるからで、疾病(病名が確定すれば)保険が効きます。 個々の質問に答えます。 >それを2回ぐらいやって、歯茎の状態が良くなってから、虫歯治療に入るとのことでした。 歯周治療を終了してから虫歯治療に入るのは、とても良いことです。体系的治療の原則であると思います。私もそのようにしています。 >280,000円かかると言われました。保険のものはもちが良くない、周りに隙間が出来て虫歯になりやすいと説明されました。 ・・それは、その先生の場合は、ということではないでしょうか? 一般に、多くの、保険診療を主体にされている先生をたくさん知っていますが、そんなに簡単にだめになることはないと確信します。 たしかに、自費のかぶせは、セラミックスであるとか金が使われるとか審美的、あるいは、入れ歯などでは、使用感において保険治療にはない、付加価値があることは事実です。 それは、いつも例え話に出しますが。車を買うときに、カローラを買うか、セルシオを買うかと言う選択に似ています。 もし、保険のかぶせをつくって、持ちが悪く、周りに隙間が出来て虫歯になるような物しか作れない先生がいたとしたら、歯学部の学生以下の能力でしょう。歯学部の学生は臨床実習でかなり精度の高いかぶせを保険で作っています。 ただ、こういうことは、確かに言えます。保険でもすばらしい治療ができる先生は、自由診療をしたばあい、さらに付加価値のあるかぶせを作ることが出ますし、高度な治療も信頼して任せることができます。なぜなら、日ごろの数多い精度の高い保険診療を数多くこなされているからです。 安価で優れたカローラを作る能力があるから高価だけど海外で高い評価を受ける付加価値の高いセルシオも作れるわけです。だめな、カローラを作っていればセルシオは信頼をなくするでしょう。 ただ、保険では、良い治療は出来ないけど自費なら出来ると言う先生もおられますが。私なら、そんな先生のところには行かないです。 カローラは安いけどすぐ壊れます。タイやもゆがむこともあるしブレーキも甘いですが・・・金出せば優れたセルシオが買えますよ?と言われて、大枚はたいてセルシオを買うでしょうか?そのように考えてください。おなじことです。 しかし、フェラーリのように高級スポーツカーしか作らない支持されているメーカーもあるわけで、同様に、高度最先端医療だけを自費でしている矯正の先生やインプラントの先生は別の次元で考えていかねばなりません。 >保険では出来ない検査をやっている とのことでしたが、 歯石取りも本当は保険で出来るのではないかと思ってしまいます。 歯石除去は現行保険法で適用になっています。その為の検査は、必須項目です。現行保険法で、検査なしの歯石除去は出来ません。検査なしで歯石を取った場合は、水増し請求か架空請求の疑いが出てきます。それほど、歯石を取るうえでの検査は重要なのです。 但し、以前に検査をして歯石を取っている場合は、それを維持するために、スケーリングすることがありますがこの場合は、月に一度、歯周管理料を算定されます。(歯周病は進行性がありますから、病状を安定させていくという場合です) しかし、改めて、お金をもらって、歯石を取る場合は、再び検査しないと算定できません。 検査結果に基づく根拠がない限り歯石除去はありえないのが、現在の保険による治療です。歯科医学的に考えても理にかなっています。この場合は、病名は歯肉炎、もしくは歯周炎ということになります。 逆に、自由診療になると、その先生の判断によって検査なしで、歯石を取ってかつ料金を請求できます。 診療の方法も自由です。誰も、とがめることは出来ませんし、不正でもないです。 そう言う先生は、検査なしでも判断できる並外れた先生か、いいかげんな先生のどちらかでしょう。 >歯石取り段階を保険の範囲内でやることは出来ず、どうしてもという場合は診療お断りと言われました。 自由診療と保険診療は、並行して出来ない原則があります。(その意味においては、法を遵守しておられます。) しかし、一般に自由診療専門の医院では、保険診療希望患者は除外し断る傾向にあります。これは、患者層を統一する為です。そのような方針の医院もあるということで、それはそのような経営形態を支持する患者層もいるということです。 高級ホテルのラウンジにジーパンやノーネクタイでの入店を拒否されるのに似ています。 >こういう歯医者さんは良い歯医者さんなのでしょうか。 それは、患者さんとドクターの信頼関係の問題です。患者さんが評価すべきことです。私がよい先生だと言っても、患者さんの気持がついていかなければ、あなたにとって、よい先生だとは言えないかもしれません。 かって、私は、今から考えると技量の悪い先生だったけど。よい先生だと思って信頼していました。今振り返るっても、技量は並であったがよい先生だったと思っていますし尊敬もしています。肝炎でなくなられましたが・・・ 要するに、自由診療は診療内容も料金も先生のまったく自由で、その先生の歯科医学的見識と経営に関するポリシーの問題です。 保険診療で何らかのトラブル(不正や過誤)が発生したばあい、行政機関や、保険支払い基金、公的医療監督省庁(厚生省による指導)などが介入し、指導される余地がありますが、自由診療では介入できません。これも大きな特徴です。歯科で訴訟にまで発展するのは、全部自由診療です。 逆に、自由診療の良いところは、最高の材料と保険適用外の高度な医療技術や特殊治療(インプラントやレーザー治療)などが、ゆとりを持って受けられることです。信頼の置ける自由診療の医院では最高の治療が受けることができます。 但し費用は、高額です。それだけのハード面(治療技術)とソフト面(付加サービス)を受けるわけですから。他のサービス業と同じです。 では、どうして、歯医者は、自由診療を勧めたがるかと言うことですが。 医院にとっては、自由診療は経営上大変有利です。理由は経済効率が圧倒的にいいこと、時間当たりの単価が高い。上流階級の患者ばかりになる為に、患者対応が楽である。(ごちゃごちゃ言わない人を選別する) 現金収入にありつける。(保険では、窓口で3割入金され、残りの7割は2ヶ月遅れで、保険支払い基金の厳しい審査を受けてから入金される。しかも、法人以外では税金まで引かれてくるために、資金計画がたてにくい) 被せものをすると(白い歯)利益幅が大きい。1日当たりの患者数を少なく出きるので、体力的に楽である。楽な割に儲けがでかいということです。 ただ、その分よりいっそうの責任が伴います。 ただ、保険診療から自由診療への切り替えは、経営上致し方ない医院もあるわけで、それは医院の経営上の問題であることと、不当に現行の保険点数が低いことが原因であると思います。 優れた信頼できるよい歯科医院と言うのは、高度な医学的水準を持っていることと、経営者としての高い能力も持ち合わせていることです。どちらが欠けても、いずれは全体としての信頼を失っていきます。 かくして、神聖な医学分野に経済論理がゆがんだ形で横行するわけです。患者サイドからは、見えにくい部分です。 私は、適切な経済論理と競争原理を持ち込まない限りこのいびつな構造は、改善されないと思います。 零細な経営形態の多い歯科医院では、高い医療技術を持ちながら経営センスのない歯医院が経営を悪化させてしまうことは、残念なことです。これは、なにも、歯科業界だけでなく他の業界は、もっと深刻なわけでおなじことです。ただ、売り物が違うだけでゃないでしょうか? 自由診療を受けられるときは、十分納得と信頼のもとで受けるようにしてください。 |