初めて相談します、28歳の女子です。抜歯するのとしない方法があるそうですが、抜歯する場合、上下4本抜くと、先生に言われたのですが、取ってしまうと、ほっぺたの肉が、おちて、老け顔にならないのでしょうか?心配です。
輪郭が、卵型なので、なおさら、筋肉が落ちてしまいそうで心配なのですが?後、親知らずも抜くと、聞いたので、不安です。
どうか、教えていただけないでしょうか?おねがいいたします。

よく勘違いされるのですが。
歯は、基本的に抜かずに保存していくべきですが。但し前提があります。

正常な営み(機能)をしている歯と言う前提です。素人は何がなんでも歯を抜いては、いけないと考えがちです。親知らずや、歯列不正の場合の歯は、少し事情が異なってきます。

この正常に機能している状態という感覚を、異常な噛み合わせの人は知りません。ず〜と、異常な噛み合わせですごしているから、異常な状態に慣れてしまっているし、正常な噛み合せを体験したことがないからです。

私は、片耳(右)が生まれつきまったく聞こえませんが、時々不便だと思う程度で、何ら異常であることを知らずに暮らしてきました。
あなたからしてみれば、片耳の世界とか「とんでもない異常な世界だと思うでしょ?私には普通の世界で、何ら問題を感じません。ヘッドホンでステレオが聞けないことぐらいで、いつもモノラルな訳ですから、ステレオの音響機器を買わなくて済むので、便利です。でも、両耳の世界はどんな風に聞こえるのか1度聞いてみたいですが。。。

同様に、あなたは、正常な噛み合せを知りません。その代わり、私はあなたよりは、知っています。

歯は、前歯部、犬歯、小臼歯、大臼歯とありますが、全ての歯には重要な役割があり、これらの歯が協調して正常な噛み合せができてます。

噛み合わせにとって、とても大切なことは、個々の歯が正常であることと、上下の歯の位置関係が正常であること。左右の歯の位置関係が正常であることが最小限の条件です。(専門的には他にも条件があります)
しかしその歯の土台である、あごの骨が小さい場合、歯がきれいに並ぶことが出来ません。左右上下の位置関係は不適切になっていきます。

歯の数は遺伝的に先天的(生まれつき)に決まるのに対して、あごの大きさを決めるものは、小学生時代以後の食生活(後天的食習慣)によって決まってしまいます。
この先天的条件と、後天的要因にアンバランスが起こったとき、歯列不正が発生します。

最近は、硬いものを食べなくなったこと、咀嚼回数が減ったことにより、極端に顎の成長が悪くなり。今はやりの小さな顔(皆さんが喜ぶ)になりつつあります。
そのとき、歯並びは犠牲になります。歯の数は遺伝的に決まっており全部生えてこようとしますが、生えるためのスペースがなく、押し合いへしあいしながら、生えてくるわけです。
生命維持に関係する歯は、とても強い力で、なんとしても生えてくるたくましさがあります。これほど、何とかして生えようとするのは生きていく上で、とても重要だからなんですが、歯並びの悪い人は生かしきれないで自ら生活の質を落としていく事に気がついていません。

前歯や、小臼歯のように根っこが、単純な歯は、両方から力を受ける為にモーメント(回転力)がかかり、ねじれていき、ついには、くさび効果でせり上がってきたりします。結局、歯並びはがたがたになり、口腔の大切な働き咀嚼が出来なくなります。
そればかりか、歯周病を促進させ、時に、顎関節症を引き起こしていきます。

このことは、生物の最初にして最も重要な機能、食べるということが、正常に出来ていないわけですから。後々、様々な影響を全身的に与えていき、生活レベルを低下させていき、寂しい老後になります。

歯列矯正において歯を便宜的に抜く意味は、ここから始まります。

歯並びを人工的に適性にするには2つの方法しかありません。
歯の数に見合った顎を作る。あるいは、未熟な顎を発達させるように誘導する。
この場合、今流行のあなたの、顎の小さな小さな顔ではいけません。しっかりと鰓の張ったでっかい顎が必要です。かってあなたの祖先は、そのような顎を持っていたはずなんです。なぜなら、あなたの歯の数は、あなたの祖先からの情報が伝えられているのです。(遺伝)
しかしながら、顎の成長はおおむね、18歳くらいで止まってしまいますので、この方法は、非現実的です。
この方法が使えるのは小学生から、中学生にかけてです。

次の方法、あなたのお気に入りの小さな顎に小さな顔を生かす場合。歯の数に対して、歯が正常に並ぶことが出来るスペースがないわけですから、ゆがんでしまって、まったく機能していない歯を何本か間引いて(どうせ、このような歯はまったくと言ってほど役になってない)ワイヤーでひっぱたりして、倒れているものは起こしてやり、ねじれているものは回転させるなどして、あなたの顎のサイズにぴったりに人工的に並べかえると。あなたが、いまだかって経験したことのない、咀嚼機能を持った口に変身します。

なんでもそうですが、機能を追及していくと美しい形になります。

私は、スポーツカーや、飛行機が好きですが、美しいからです。これは、デザインが先にあるわけでなく、走ると言う機能や、スピードを追求した結果、飽きのこないす晴らしフォルムが作られます。

同様に、無駄な歯を取り、機能できる歯並びを矯正によって作っていくと、審美歯科では得ること出来ない、あなた固有の美しさも結果として得ることが出来ます。

歯を抜いて、顔の輪郭が変わったり、肉が落ちることは絶対にありません。その逆のはずです。

なぜなら、現在の歯の数はあなたの顔にマッチしていないからで、多すぎる歯を抜いて機能を追及して矯正した場合は、顔の骨にマッチした口が出来るわけで、今よりは、ずっと引き締まった、素敵な美しい顔貌と、口元を得る可能性があります。さっきも言ったように機能美を得ることが出来るからです。

ちょうど、スポーツを極めていくと、そのスポーツにマッチしたすばらしい肉体を得ることが出来るのと同じです。

最も、成人のばあい、例外的に、歯のスペースが足りない場合、今ある歯の側方を少しずつ削ってそれぞれの歯の横幅を小さくしてスペースを確保する場合もありますが、あまりこのような症例は見かけませんね。




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