今までの経過についてご 相談したく、メールさせていただきました。 実は、先日、歯が痛んで物をかむのに激痛が走る状態でしたので、ある歯科医に見てもらいました。 そのとき歯と歯の間が痛むような感じでしたので医師にそう 言うと、「歯と歯の間は空間です。なにもないところが痛むはずがない」などと言われてしまいました(そらそうですが・・・)。 それで、レントゲンを撮ったところ、特に虫歯もなく、「神経が炎症を起こしているのではないか」と診断されました。 「なにが原因でしょうか」と聞くと「そ んなことは分からない。人間が何で生きているのかと同じだ」との答え。 とにか く、その先生には(今考えると)症状があまり把握できてない様子でした。そこで、初回は何かの薬品を塗って、様子を見ることになりましたが、それから一ヶ月経っても状態が改善しなかったので、再度その歯科医を訪ねました。 私はその時点では、もう一度薬品を塗って様子をみるのかなあ、ぐらいにしか考えていませんでしたが(今考えるともう少し主体性をもっておけば・・・と思います)、医師は「処置しましょう」といっただけで、知らぬ間に(というか何の説明もなく)痛む歯の神経を抜かれてしまいました。しかもなぜか2本。 歯と歯 の間が痛むと言っていたその両方の歯です。 このとき、事前に神経を抜くかどうか聞かれたらおそらく断ったと思います。 以前別のところでいやな目にあっていましたから。ただ、作業が始まってしまうと(神経を抜いているのではないかとは考えましたが)途中でとめることもできず、そのままにしてしまいました(やはり作業中に質問することはなかなかできないものです。また医師に質問しにくい雰囲気でもありました)。 処置が終わった後で(これは神経一本ぬかれたか?)と思い、鏡を見ると、予想外に2本の歯に穴があけられている様子。確認のため医師にどういう処置をしたのか尋ねると、「何をされているかは常識で考えれば分かるでしょう!?」。 唖然としましたが、とにかく、その時は歯の痛みを治すことが優先でしたので、とりあえずその場は黙っていました。また、その時ゴムのようなものが詰められていたので、次回までの間、何か気をつけることがないか先生に確認すると、「そんなことは常識で考えてください。 仮にも義務教育を受けた人なら常識で分かるでしょう!?」との答え。 いいかげん私も腹が立ちましたが、処置が完了するまではあまり医師ともめるのもよくないかと思いそれ以上聞きませんでした。 その後2回通院し、あけた穴に何かを詰めて処置が終わったのですが、直後から打つと痛みがあり、熱い物がしみる状態でした。 医師が最初は痛むかもしれないが徐々になくなります、と言っていたので、そういうものかと思って様子を見てみましたが、一ヶ月経った現在でもうずきと滲みがなくなりません。 そこで、昨日その医師に(あまり話もしたくなかったのですが)電話で聞いてみたところ、「そんなはずはない。分からない。ほかの病院を紹介するからそちらに行ってくれ」と信じられないようなことを言われました。 そして、こちらがまだ話しているにもかかわらず突然電話を切ってしまいました。それまでに、いろいろまわりからの話で、事前の説明もなく(抜く必要がなかったかもしれない)歯から勝手に神経を抜くような医師は(しかも事後の説明もしようとしない)、まともではないということが分かってきてましたが、昨日の電話でそれがますますはっきりしました。 とにかく、その医師には、紹介先の病院に行く気はない、別の病院を探すから診療記録をくれるようにいい、なんとかもらえることになりました。 ただレントゲン写真はどうかと聞くと、新しい医師が必要と言えば貸す、とのことでした。 以上がこれまでの経過です。 ここで先生にご相談させていただきたいのですが、 1,どうも私にはその医師の処置(事前の同意なく虫歯のない2本の歯に穴をあけて神経を抜いたこと、治療が不完全だったこと、にもかかわらずそれを認めずアフターケアを完全に放棄していること)が不適切だったように思えるのと、その不遜な態度に納得いきません。この点、どう思われますでしょうか。また、処置が不適切である場合、何らかの形で刑事上ないし民事上の責任を問えるのでしょうか。例えば、傷害罪、説明義務ないし委任契約不履行に基づく損害賠償、不法行為に基づく損害賠償等々・・・(事を荒立てるつもりはありませんが・・・)。 2,神経を抜いた歯に上記のような症状がある場合、早急に治療する必要がありますでしょうか。それとも、あと2,3週間ほど置いておいても差し支えありませんか?現在は良くも悪くもなっていない状態です(風邪を引いてしまいましたが、たぶん関係ないと思います) お忙しい中、大変あつかましい質問で申し訳ありませんが、何らかのご回答をいただければ幸いです。 |
>言うと、「歯と歯の間は空間です。なにもないところが痛むはずがない」などと言われてしまいました(そらそうですが・・・)。 痛みには、多くの種類と原因があります。大きく分けて、3種類に別れます。 1.歯自体の神経が痛む場合・・・・虫歯の場合などです。 この場合、患者さんは、この歯が痛いということができます。あるいは、冷たいものや熱いものがしみます。また、ずきんずきんと、血管の拍動に連動して痛むことがあり、しばしば、耐えることのできない激痛です。この場合は、神経を取らなければいけません。 2.歯茎の痛み。・・・歯と歯の間が痛い場合です。この場合は、冷たいものや熱いものもしみますが、程度は1.に比べて軽いです。またずきんずきんとした、拍動痛はないです。よく食べた後に起こったり、爪楊枝を使ったあとに起こったり、疲れた時に起こったりします。あるいは、しばらく気にならなかったり、急に気になったりします。これは、歯周病を併発していることがあり、歯茎の状態が悪いことにくわえて、歯と歯の間に食べたものが挟まり、歯と歯の間状態の悪い歯肉に炎症を増悪させてしまうケースです。この場合は、歯石を取り、駄目になった組織を掻破すると完治します。 3.しみないが、噛むと痛い。あるいはいつも痛い。レントゲンでは、根っこの周りに陰がある。このケースでは、最初は、軽い症状・・・痛かったりそうでなかったり。やがては、常時痛くなるケースです。2,神経を抜いた歯に上記のような症状がある場合、早急に治療する必要がありますでしょうか。これは、根っこに細菌感染があり、おおむね、歯の神経はすでに腐敗を起こしているために、虫歯のような痛みとは性質がいます。長い年月を経て進行したもので、治療も通院も時間がかかります。 あとは、これらの複合するケースです。 あなたの症状を考えると・・・見てみないとわかりませんが・・・ >それで、レントゲンを撮ったところ、特に虫歯もなく、「神経が炎症を起こしているのではないか」と診断されました。ということなので・・・2.のケースではないでしょうか? >「そんなことは常識で考えてください。仮にも義務教育を受けた人なら常識で分かるでしょう!?」との答え。 ・・・これは無茶な話です。 たとえ大学を出た知識人にでも、治療後のことについてあらゆる事を想定し不安を取り除くように説明する義務が歯科医師にはあります。 それは、その歯科医のおごりであり、認識不足であると思います。 >私はその時点では、もう一度薬品を塗って様子をみるのかなあ、ぐらいにしか考えていませんでしたが(今考えるともう少し主体性をもっておけば・・・・ それは、あなたが、不信を持った時に、勇気を出して、質問するべきであったと思います。もちろん、インフォームドコンセントなしに神経を取った先生は常識はずれである事は、言うまでもありません。一部の、奢った歯科医には、通常の常識が通用しないことがあります。 これは、歯科医師というよりも、その歯科医の人間性であると思います。歯科医に限らず、無神経で、傲慢な人間はいるものです。 >そこで、初回は何かの薬品を塗って、様子を見ることになりましたが、それから一ヶ月経っても状態が改善しなかったので・・・痛む歯の神経を抜かれてしまいました。・・・・しかもなぜか2本・・・・一ヶ月経った現在でもうずきと滲みがなくなりません。 事実は、神経を取ったことが全然、効果がなかった。その可能性についてですが・・・・ もし、その先生の「神経に問題があった」という診断が正しい場合は、神経治療がうまくいっていない(失敗又は、不十分)。 神経治療はうまくいっていると仮定するとその他に、原因がある。ということが、考えられます。 >処置が終わった後で(これは神経一本ぬかれたか?)と思い、鏡を見ると、予想外に2本の歯に穴があけられている様子。確認のため医師にどういう処置をしたのか尋ねると、「何をされているかは常識で考えれば分かるでしょう!?」。 ・・・・もし、これが事実とすれば、非常識な歯科医ということになります。このように、歯科医の常識を無理矢理押し付けてくる歯科医は、患者さんの知る権利を無視した、一歩間違えば、治療ではなくて、傷害行為になる可能性があります。患者の了解なく神経を取ったり、歯を抜いたりできないと思います。 患者の承諾なしに臓器の一部を摘出したことになります。 例えば、気がついたら腎臓が一つ、たとえ医学的合理性があったとしても(緊急避難適な場合例外です)、患者さんに無断で摘出したとしたらどうなるでしょう。 その先生には、たかだか「歯」である、というような甘い認識があるのではないでしょうか?私は、歯の1本は他の臓器の一部と同じように、その人にとってかけがえのないように思うのですが。 >何らかの形で刑事上ないし民事上の責任を問えるのでしょうか。例えば、傷害罪、説明義務ないし委任契約不履行に基づく損害賠償、不法行為に基づく損害賠償等々 ・・・私も、患者として、同じような経験があり、係争しかけた経験を持っています。 もし、受けられた治療が保険診療の場合は十分に立件できます。 自由診療の場合は、複雑になります。まずやらなければならないことは、証拠の保全です。 あなたが、支払った、領収書を黙って、請求して下さい。裁判するとか言ってはいけませんよ。さりげなく請求して下さい。 保険請求内容、それに伴う、病名と処置はその領収書の金額から、逆算できます。その時点で、ほとんど、証拠は保全可能になります。 次に、弁護士会に相談して下さい。費用は5000円です。相談に乗ってくれます。歯科医師会に訴えると、相談には乗りますが。あくまでも、歯科医師会は加入している歯科医師会員の互助組織ですから、患者さんに有利に展開するとは限らないので、ご注意下さい。 また、すべての開業医が歯科医師会に加入しているわけではありません。本来は弁護士会のように歯科医師は、全員加入していると思われがちですが、開業していない歯科医師は入れませんし、開業しようとしても加入を待たされたり、実質上拒否されたりするからです。私も、加入していません。 もし裁判する場合は、それに先駈け、カルテの開示を求めて下さい。 カルテには、あなたの治療情報が書かれていますし、本来的に、患者は知る権利を持っています。 なぜなら、代金を支払っているし、自分自身の健康に関係するからです。 また、ひょっとしたら、過誤(ミス)があったりする可能性があるからです。できればコピーして下さい。(これは、難しいかもしれません)コピーできない場合は、内容を、そのとおり、記録して下さい。 これらの交渉については、小型録音機(15,000円くらいでネクタイピン型が日本橋や秋葉原で売っています)で、すべて録音して下さい。 また、行政手続きでは、担当した事務官や技官の氏名を必ず覚えておいて下さい。できれば、名刺をもらっておくといいでしょう。 次にやることは、各都道府県庁健康管理課(地方自治体によってセクションが異なるために総合案内で確認して下さい)に診療報酬請求書(レセプト)の開示請求を申請して、取り寄せて下さい。 ほとんどの、地方自治体は情報公開条例により、公開してくれます。診療報酬請求書には、治療費の明細と、治療内容が書かれています。 これだけの資料をそろえた上で、弁護士と相談のうえで、質問状を歯科医に内容証明郵便で送付して下さい。 その場合に、あなたの受け取った、領収書と不一致があったり、治療内容項目でやっていない項目があったりすると、不正請求で告訴できます。 カルテを改ざんされる可能性がありますが、その場合、すでにあなたは、領収書を押さえているので、つじつまが合わなくなります。その場合は、公文書偽造で告訴して下さい。同時に、裁判所にカルテなどの証拠保全の手続きを申請して下さい。 したがって、領収書はとても重要な証拠になります。この段階で、私が取り扱ったり、相談を受けたケースでは多くが示談になっています。 治療費が返還され、示談金(見舞金)の形で、支払われ。「以後、異議を申し立てない」旨の覚え書きが取り交わされます。 しかし、これは、あなたに正当性があるのか、歯科医師に正当性があるのかわかりません。歯科医師が、確固たる正当性に自信があれば裁判になります。 また、このような、トラブルに関して、民間のオンブズマンや組織を利用するのは有効です。方法についてはほんだ歯科の「医療110番」を参照して下さい。 ユニークな方法として、もう一つ、革新系の(保守系はだめです..革新系であればどこでもいいです)議員事務所に、相談係があります。あなたの政治信条は知りませんが。特にこれといって支持政党がない場合は、そこの、後援会に入ることにして、後援会長を紹介してもらって下さい。後援会長に事情を説明し、弁護士の紹介と情報公開の手続きが迅速にはかどるように依頼されると、なぜか驚くほど早く話しが進んだりします。 私の経験からすると。このような手続きは、大変な労力と時間を必要とします。ただ、一般の方は、このような、方法を知らないために泣き寝入りしがちです。 アメリカでは、訴訟はほとんど金に成るため、弁護士側から話しを持ち掛けてきます。そのために、歯科医師や医師はいつも訴えられる可能性があるために、とても慎重で、かつ、インフォームドコンセントを十分に行います。アメリカでインフォームドコンセントが進んでいるのは、このような訴訟社会であるからです。 日本も、だんだんその傾向にあります。 日本で、インフォームドコンセントがなかなか、根づかないのは、今のところアメリカのように、訴訟ということに慣れていない社会の仕組みと、訴訟費用の問題があります。 また、アメリカの医師や歯科医師のように、いつも訴えられるという緊迫感がないために、医療側におごりがあります。また、患者も、泣き寝入りして、すぐに転院するために、責任の所在すら分からなくなってしまいます。医療過誤や、その疑いのある時は、直ちに責任を追及する姿勢をみんなが持てば、必ず、だめな医療機関は淘汰されていくし、不正もなくなると思います。患者は、勇気を持って知る権利を主張し真実を知るべきです。 >2,神経を抜いた歯に上記のような症状がある場合、早急に治療する必要がありますでしょうか。 病態や、治療の精度、経過によって異なります。しかし、経過を見ていく場合は、歯科医師の指示に従った方がいいと思いますが。 説明と、結果が著しく異なる場合は、転院した方がいいかもしれません。 |