親知らずが4本とも生えていたのですが、下の2本が疼いていたので抜歯をしました。

ところが、先日歯科医に診察してもらったときに、上の2本の親知らずが、下の歯がないために長くなってしまっているので抜歯したほうがいいと言われました。せっかく痛い思いをしてしたの2本を抜いたのに、また上の2本も抜かなくてはならないのかとがっかりしています。この2本はやはり抜歯した方がよいのでしょうか。

 別件なのですが、こんなにやっかいな親知らずはなぜ生えてくるのですか。また、何の役に立つ歯なのですか。

 またまた別件なのですが、私、今まで生えてきた永久歯なるものの数は、35本になります。(親知らず4本、八重歯2本、上の歯の内側2〜3pぐらいのところにになぜか1本)
こんなには入らないのに、生えていました。(親知らずの2本を残してすべて抜歯済み)

こんな人は他にもいるのですか。また、何故、こんなに生えてきたのでしょうか。すべて役に立たない歯のようですが・・・今現在まで虫歯はない健康な歯なのですが、こんなにしょうもないことでの抜歯は、もうこりごりです。 


>この2本はやはり抜歯した方がよいのでしょうか。

そのようなケースでは、多くの場合に、噛み合せに不備が生じます。噛み合せというのは、とても大切で、しばしば、歯科治療に行ってかえって噛み合わせが悪くなったりします。

普通、歯医者さんなどで、「噛んでみて下さい」とわれると、意識して噛む為に、普段とは違った模範的な噛みかたをしようとします。
ところが、普段食事などで、無意識に噛んでいるときは、別の噛み合せをしています。=臨床的生理咬合(正常な場合は意識して噛む場合に一致します)。

かみあわせは、上の歯と下の歯の歯ならびによって、決まります。特に大切なのは上の歯の歯並びです。

上顎は、いかなることがあっても動くことはありません。つまり、噛む行為は、上顎の歯の配列に誘導されて、下顎が動きます。
したがって、上顎の歯並びは、正常な噛み合せのためにはとても大切です。

理想的な噛み合せの基準となる、上顎の歯の配列を仮想咬合平面と呼びますが、噛むことのない、一番奥の親知らずが挺出している場合、下あごの前後左右の動きが、その親知らずの為に、動きが規制されます。このことは、噛み合わせに大きな障害をもたらし、ストレスを生む結果になり、無意識の噛み合わせにおいて、そのストレスを避けるようにして噛み合わせる結果となり、徐々に、顎関節に疲労が発生し、噛むことに関与する全ての筋群にストレスがかかるため、連動するように頭痛や肩こりが発生したり、顎関節症に陥ったりします。

したがって、噛む機能に参加していない、理想咬合平面を狂わせている、上顎の挺出した親知らずは抜いておいた方がいいと考えます。

もう一つの理由は、そのような歯があると、口腔内の衛生環境が著しく低下します。
なぜなら、その奥は歯ブラシで磨けない為に、どんなにがんばっても、細菌学的には清潔にはなり得ない「不潔域」と呼ばれる空間を作ります。

虫歯にしても、歯槽膿漏(歯周性疾患)にしても、全ては自己の細菌感染によるものですから、この見地からしても抜いておいて清潔さを保持する必要があるように思います。

> 別件なのですが、こんなにやっかいな親知らずはなぜ生えてくるのですか。また、何の役に立つ歯なのですか。

これは、遺伝的要因によるものです。本来的には、歯の数は遺伝によって、生まれたときにすでに永久歯の卵のようなものを、もって生まれます。最近は、人によっては、何本かの親知らずを元から欠落していく傾向にあります。

進化、または、適応であると思います。私なんかは、両親は親知らずがありますが、始めから4本ともありません。「超新人類」かもしれません・・・・

親知らずは、思春期において顎の発達が十分であれば、歯ならびに影響を与えることなく正常に生えてきて、正常な咀嚼機能として役に立ちます。

昔は、今に比べて、硬いものを食べていたので、必要であったわけです。食生活習慣の変化に適応が追いついていないということです。
特殊なケースでは、歯を失ったときに移植する為の歯として役立つケースがあります。

>またまた別件なのですが、私、今まで生えてきた永久歯なるものの数は、35本になります。(親知らず4本、八重歯2本、上の歯の内側2〜3pぐらいのところにになぜか1本)
こんなには入らないのに、生えていました。(親知らずの2本を残してすべて抜歯済み)
こんな人は他にもいるのですか。


通常、成人の歯の数は、親知らずを含めると最大で、32本です。まれに過剰歯といって、余分に生えることがあり、一種の奇形と考えられていますが、解剖学的にはバリエーションの一つと思います。

教科書に書いてある、正常な人というのは、実は逆に珍しいくらいで、正常というのは、統計学的に最も多いケースを集合させた、架空のもので、実際には個人個人で少しづつ異なるバリエーション(個人差)が認められます、そんなに気にすることではないと思います。
このような人は、様々なケースで、存在し教科書的模型のような美しい人めったにいません。


>また、何故、こんなに生えてきたのでしょうか。すべて役に立たない歯のようですが・・・今現在まで虫歯はない健康な歯なのですが、こんなにしょうもないことでの抜歯は、もうこりごりです。 

これは、顎の発達時期(小学校高学年〜18歳くらい)までの、食生活やライフスタイルの急激な変化による、顎の発達の未熟さによるものと考えられます。あるいは、顎が発達する理由がなくなった。
現在の咀嚼回数は親の世代の比べて、極端に少なくなりつつあります。したがって、遺伝的要因である歯の数と後天的要因で決まってしまう顎の大きさによるアンバランスから歯列不正の人は、増加しつつあります。



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