フラボノイドの抗癌作用について

広島大学の伊藤明弘教授の乳がんに対するフラボノイドの実験。

 フラボノイドの一種(バイオカニンA)をラットにそれぞれ食べさせた。そして、乳がんを発生させる発がん剤を投与。ラットが食べているエサによって、乳がんの発生率にどのくらい差が出るかを調べた。

 結果は、非常にはっきりしていた。普通のエサを食べていたラットでは18週間で、ほぼ90%にがんが発生した。ところが、このラットでは、乳がんの発生率は30%にまで低下していたのである。

 この実験からみると、がん抑制効果の一つは、フラボノイドにある可能性が高い。

 人間の体は、約60兆個の細胞からできている。それでも混乱が起きないのは、細胞がお互いに情報を交換し、一定の秩序を守っているからだ。ところが、がん細胞ではこうした情報交換が失われ、細胞が無秩序にどんどん増えていく。この情報伝達をフラボノイドが円滑にするのではないか、と想像されている。

 自然界の性ホルモンには、人間などほ乳類がつくるものと、植物がつくる植物性エストロゲンがある。PCBやダイオキシンなどの人工合成物質も性ホルモンと似た働きを持つ。環境ホルモンと言われています。

 合成物質(環境ホルモン)の場合は、遺伝子を傷つけ、細胞のがん化を起こすが、植物性エストロゲンには、こうした害はない。フラボノイドも植物性エストロゲンの一つです。