〔このページで発表する見解について〕

この項における分類や解説は、既に発表されたデータをもとに、日常臨床から私が新たに得た情報を加味して、独自に考察し考案したものです。よって、まだ研究者による再評価を受けていない、私的考察である事を御了承ください。
口臭についての最終的な分類とその原因究明については、基礎研究を経て新たに確立していかねばならない、今後の課題であると思います。

もし、口臭を本格的に研究してみようという、医科系・歯科系・理工化学系・基礎系研究者の方がおられましたら、公的研究所・民間研究所を問わず、私・本田俊一が協力いたします。
微生物学的研究手法・および臨床的な問題に関しての助言は、私がこれまで行ってきた研究実績から、かなりの程度まで行うことができるものと思います。また、自分が引きつづき行っていく臨床から、今後も新たな提案ができるものと思います。今でも、アイデアはたくさんあります。
共同研究者を募ります。
  
fresh@honda.or.jp

口臭の原因物質、および臭気発生源による分類−本田による分類(私案)

口腔内で作られる臭気(ガス)

由来 臭いの種類
(患者さんの訴えによる官能的分類)
臭気物質 発生の仕組み







卵が腐ったような臭い 硫化水素 口腔内に常在する微生物が持っている分解酵素や、唾液中に本来含まれる酵素によって、基質が分解され、臭気が発生します。

存在する微生物(細菌・原虫・真菌類)

健康な人の口の中にも、通常200種類前後の微生物が存在し、その数は、少なくとも数十億という単位です。(このような微生物は、常在細菌叢、フローラと呼ばれています。)
その多くは、微好気性菌(少しの酸素が有る状態が好きな菌)および嫌気性菌(空気が比較的少ない環境が好きな菌)ですが、ウイルス、バクテリオファージ、等細菌以外の微生物も常在しています。

基質(分解を受ける物質)となるもの
  • 口腔内の剥離粘膜上皮
    口腔内の粘膜細胞は、体内で最も新陳代謝が早いので、口腔内には、それによって剥離した細胞が多く存在します。
  • 血液・不良組織
    歯周病時にみられる歯周ポケットあるいは歯肉からの出血、および、不良組織片、新陳代謝による老廃蛋白質、および代謝産物
  • 食物残渣
    歯間や、補綴物のアンダーカットな部分
    に付着したり、金属表面に吸着した粉状の食物残渣(主としてでんぷん質やたんぱく質)

生臭い
魚のはらわたの臭い
野菜の腐ったにおい
メチルメルカプタン
ごみ臭 ジメチルサルファイド
公衆便所のような臭い
おしっこのような臭い
アンモニア
各種アミン
おならのようなにおい
うんこのにおい
スカトール
水素ガス
二酸化炭素ガス
二日酔いのような臭い
刺すような臭い
柿の腐敗臭
アセトン
アセトアルデヒド
インドール
酒臭い
甘酸っぱいにおい
酒臭い
エタノール
メタノール
こげ臭い
たばこ臭い
むかむかする臭い
タール
炭化物
喫煙によるタールの舌・補綴物への付着
コーヒーなどの炭化物の舌・補綴物への付着
甘ずっぱいにおい
沢庵のような臭い
奈良漬けのような臭い
納豆臭い
チーズくさい
揮発性脂肪酸
揮発性酸
その他の揮発性物質
唾液内消化酵素による遅延的発酵および酵素反応

舌表面や歯間・補綴物に付着・吸着した粉状食物残渣が、口腔内の、様々な酵素によって食後に発酵したり、分解を受けるものです。作用する酵素は、唾液中のアミラーゼなどの消化酵素や、本来唾液や、口腔内の上皮細胞に含まれるウレアーゼ(尿素分解酵素)などですが、それ以外の酵素もあります。










にんにく臭い
ネギ臭
タバコ臭い

食物に含まれる臭い物質 食物や飲料、嗜好品、香辛料等を摂取した結果、血中に含まれるようになる臭気物質で、唾液内又は呼気を介して口臭になりますが、一過性です。
  • にんにくなどのネギ類
  • カレーなどの香辛料
  • アルコール飲料
  • コーヒー
  • 健康食品・漢方薬の服用
  • ビタミン類の過剰摂取
呼気性臭気に順ずる
(内因性病的口臭)
呼気性臭気参照 呼気性臭気として分類している、内科的要因による臭気は、しばしば、唾液や口腔内での出血による血液を介して口腔内に発生する事があります。
口腔内臭気と呼気性臭気が同時に発生していることも多いです。
唾液依存・唾液含有の基礎疾患由来の臭気物質の口腔内揮発


呼気性臭気


(私的定義:この口臭は、その元となるガスの発生源が口腔内にあるのではなく、
呼気によって反映される臭気で、しばしば、あたかも
上記口腔内口臭と混同されるガス)
さらに、精神的要因で発生すると思われている
自臭症の人の口臭
他覚的口臭(他人が感じる口臭)はないが自覚的口臭(自分だけが感じる口臭)
が強くあったり、稀に、一時的に他覚的口臭を引き起こす可能性がある。

患者の訴えとして
「のどの奥のほうで感じる口臭」
又は、
鼻臭と感じたりする可能性がある。

以下の臭いは、治療時において他覚的には口臭と認知できないけど
患者だけが口腔内奥で感じるガスの可能性がある。
鼻腔および口腔を出た瞬間に拡散し他覚的評価は難しい。
また、口臭測定器に反応したとしても微量である事が多い。
口臭測定器の判定では正常とされてしまう。
ただし、、病態が重篤なケースあるいは、
口腔内乾燥時には認知できる前述体内由来唾液依存の口臭に移行する。



臭いの種類
(患者さんの訴えによる官能的分類)
臭気物質 発生の仕組み
すえたようなにおい
薬品臭い臭い
二日酔いのような臭い
甘ったるい臭い
アセトン 糖質・脂質の代謝異常・・もしくは境界領域病変(異常値に近い正常の範囲)
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 脂質代謝異常
  • アルコール多飲による分解産物
ガス臭い?
ゴム臭い
イソプレン コレステロール代謝の異常
  • 老化
  • 肥満
エタン ビタミンEの不足・・・・冷え性・生理不順の訴えに注意
赤血球溶血現象・・・・貧血注意・尿検査注意・泌尿器疾患
食間に現われる
「もあっ〜」とする臭いと表現する患者が多い
のどの奥から感じる便所のような臭い
二酸化炭素
アンモニア
胃内部のH.pyroli(胃潰瘍原因菌)感染の疑い・・胃潰瘍注意
胃潰瘍初期にも注意(自覚症状がない)
慢性膵炎にも注意・・・脂肪代謝異常により呼気二酸化炭素濃度は上昇する。便の状態を聞く!・・慢性下痢注意
おならのような臭い
(放屁ガスもしくは腸内ガス)
水素ガス 吸収不良症候群・・・小腸で吸収されずに残った糖が大腸に達し、腸内細菌により分解を受けて、呼気性に産成される。・・・下痢患者に注意

α-グルコシダーゼ阻害による腸内細菌の還元的異常発酵
大腸内の大腸菌群によって糖質が分解された場合、その分圧に応じ、腸粘膜から物理的機序で血中に溶解し、肺循環・ガス交換によって、臭気を起こすガスが肺内に拡散する。
総腸ガスの14%は呼気に移行する事が知られている。
便所の臭い
おしっこ臭い
アンモニア 肝性脳症・肝硬変・尿素合成障害・腸内細菌異常増殖に伴うアンモニア血症との相関(尿検査注意)
トリメチルアミン 腎不全の疑い・・・腎透析中注意・境界領域腎疾患注意
甘ったるい臭い
酒臭い臭い
メタノール
エタノール
アセトアルデヒド
アルコール・飲酒による代謝
シンナー臭い トルエン シンナーの常習的吸引