口臭がひどい高齢者に対する口腔ケア

共立病院歯科口腔外科 医長 杉田美加

 高齢者の口臭の原因のほとんどは、口腔内にあります。つまり、口腔衛生状態の不良により生じる食渣、歯垢による歯周病や多発性う蝕(虫歯)、さらに舌苔(写真1)などが原因です。

 口臭を除去するには口腔内の食渣や歯垢を除去し細菌の繁殖を抑えることが重要です。食渣や歯垢を取り除くには、歯磨きが最も優れています。また、歯間ブラシの併用が効果的です。しかし、麻痺やADLの低下により歯磨きができない場合には、介護者は薬液綿球(1%過酸化水素水)による口腔清拭、また使い捨ての柄つきスポンジ(トゥースエステ)などは、口腔ケアが楽に行なえます。義歯を装着している人は、歯垢が義歯の裏側やバネの部分に付着しやすく見落とされやすいので注意して清掃を行います。就寝時には清掃後、必ず外して水の中に保管します。
舌苔はやわらかめの歯ブラシや薬液綿球による清拭で落とすことができます。