私は、口臭を指摘されたことが何度かあり、その度に、心の痛む思いをしてきました。

医者に通い、虫歯や歯石を直してもらってもまだ、口臭を指摘されるのです。

歯周病でもないし、精神的にも過敏でもないし歯磨きも医者の言うとおりに磨いています。

ただ、なぜか舌苔ができやすいのです。歯ブラシでとりのぞいても、次からつぎへと白い苔が舌を覆ってしまいます。

その他、気づく点は、アレルギー性鼻炎のため鼻がつまりやすく、口呼吸になってしまい、のどがいつも赤くはれています。

舌苔は口臭の原因として、とりわけ、口臭外来に訪れる人の最大の原因になっています。
舌苔は、多くは、口腔内微生物の定着によるものですが、その除去は舌苔ブラシによる物理的除去が一般的ですが。これがうまくいかないケースがあります。

コンテンツ「口臭専科」でも詳しく取り上げますが。多くの原因があります。

まず、一般的ケースについて述べます。

舌苔が付着する理由

1.口腔内衛生の劣化
 歯周性疾患などにより、歯石歯垢の付着がひどいケース。

2.唾液分泌量の低下
 緊張症、ストレス、加齢、基礎疾患(シューグレン症候群、自律神経失調症、甲状腺機能障害、糖尿病など)による、唾液分泌量の低下による、口腔内自浄作用の低下による、口腔内衛生環境の劣化。開口や耳鼻科的疾病などによる口腔内乾燥。

3.基礎体力の低下・免疫応答の低下
抗がん剤や、長期薬物投与による副作用。
風邪などの発熱性消耗性疾患による、基礎体力・免疫量の一時的低下による、日和見的感染。

4.舌の形態的不備
巨舌症、など、口腔内体積に比べて、舌の形態が大きいケース。

以上のような、特別な理由が認められないケースで、舌苔が取れにくい、あるいはすぐ着いて来ると言う訴えがある場合があります。殆どが、他院で、「自臭症」の診断を受けた患者に多いです。

このような方に、共通したことがあります。
まず、微生物的要因で見逃されているのが。カンジタ・アルビカンスと呼ばれる、真菌の付着があります。
通常健康な人でも、口の中や、腸内、膣などに常在する真菌(かび)です。カンジタは抗生剤による治療は奏効しませんし、また。物理的に取り除くことは不可能です。
微生物的検査の結果、陽性の場合は、抗真菌剤の軟膏の塗布と内服によって改善します。

次に、食生活の徹底的な疫学調査を行ないますと、共通した食事パターンがあります。殆どのケースで、食事時間がとても短いことと、殆ど、繊維質の摂食がないことです。

これは、舌にとっても大変重要なことで、このような方は、いわゆる咀嚼機能が著しく低下しています。つまり、舌を殆ど使わない咀嚼を習慣的に行なっています。

これは、口臭と密接な関係があります。口臭は、唾液量と密接に相関関係があります。唾液量が低下すると口臭が強くなります。ストレスを感じたり、起床時等の、唾液量の少ない時は、健康な人でも口臭を感じます。
舌を使わない咀嚼とは、咀嚼回数が非常に少ない(5回未満)咀嚼です。また、粉っぽい食生活、麺類、パン類主体、あるいは、流動的食物(プリン、豆腐系)が多いことも特徴です。

このような方は、食餌療法と、舌機能の機能訓練を行うことで、殆ど解決します。

実際には、食事の中に、必ず繊維質の多い野菜を取り入れるメニュー(キャベツ、パセリ、ニンジン、海草、等)と、咀嚼数を毎回カウントさせる(最初は20回咀嚼後嚥下する訓練)訓練を行ないます。
殆どの方は、20回の咀嚼に耐えることが出来ずに、舌がくたびれる、舌根部の疲れや、疼痛を訴えます。
また、思わず早期に嚥下してしまいます。したがって、最初は、意識して咀嚼してもらいます。20回咀嚼した時の口腔内の感覚を体感してもらいます。
20回以上の咀嚼では、殆ど唾液と粉砕された食物は交じり合って液体状に変化します。

寝る前の、歯磨きは、歯磨き剤を使わない唾液での歯磨きを励行していただき、唾液分泌の訓練を行います。

この二つの訓練と、食事メニューの変更で、殆どの方は数週間で、舌苔は克服され、自臭症と呼ばれた人も、改善します。

食事記録と、口臭も記録は欠かさず記録してもらいます。

これは、どういうことかというと、咀嚼回数を20回位する(目標は30回です)事は、舌を動かさなければ出来ません。十分な咀嚼を行なう為には、十分な舌の動きが必要になります。結果、舌の運動により、唾液分泌が促進され、舌表面の食物と唾液の摩擦による自浄作用が促進されます。結果として、舌は、美しくなります。

このように、自臭症は舌の機能の低下した人が多く、舌苔がなかなか取れないことがあります。舌を使わない咀嚼と、無口であったりして、会話においても舌を使う機会が少ない人が多い傾向があります。

もしも、思い当たる節があれば、カンジタ症の可能性の検査と歯石歯垢を除去された後に、咀嚼回数を毎回20回を目標にして、食べ物を野菜中心にしてみて下さい。
出来れば、寝る前の歯磨きは、歯磨き剤を使用せずに、何もつけないで、唾液のみで、ブラッシングするようにして、唾液分泌機能と、舌の機能訓練、食生活の改善を図ってみて下さい。必ず良くなると思います。
あわせて、舌ブラシなどの補助衛生器具を用いて物理的に舌苔を除去されれば、効果は高いと思います。