どうして、ガムや飴は気休めなのか
洗口液やガムを用いないで、すぐに防臭効果と清涼感を求めるヒント

口臭でお悩みの方は、ガムや飴をよく使われます。
ところが、「一時的に改善するのだけど、その後よけい、口臭がひどくなる・・・」という訴えをよく耳にします。
あるいは「口の中がすっぱい感じがして、ガムや、飴の香料と混じって、余計不快な口臭がある」という声をよく耳にします。

この現象が、どうして起こるか、考察してみましょう!唾液と、口臭の奇妙な関係が理解できます。

耳寄りな防臭テクニックも、ちょこっと、おまけに付け加えます。是非、参考にしてください。

これまでに、唾液には、多くの意義と役割があることを学ばれたと思います。
又、唾液が口臭と密接にかかわっていることも理解されたと思います。

ここでは、唾液の様々な性質の中で、最も重要な「恒常性の維持」ということを学びます。
実は、この機能こそが「口臭」に大きく影響します。

「恒常性の維持」とは、口の中の環境をいつも同じ条件に保つ作用です。
口臭を考える時、特に重要なことは、口の中の pHであると思います。

その理由は、口臭の原因物質と、それを分解して口臭のガスが発生する過程で、ほとんどの場合にバクテリアや、口腔内の酵素が関与しているからなんです。

臭い物質を作り出すには、酵素の働きがとても大切です。
しかし、酵素が働く(酵素反応には、一定の条件が必要なんです。
その条件に pH (酸性やアルカリ性) が大きく影響します。とりわけ、酸性に傾くと口臭が発生します。

私は、口腔内の様々な炎症や口臭原因物質によって、唾液に pHの偏りが起こることも、口臭発生の知られざる原因ではないかと考えています。

ガムや、飴による口臭抑制は「マスク効果」と呼ばれています。つまり、口臭にマスクする。口臭より強い芳香を持って口臭を消すということです。もうひとつのねらいは「唾液分泌の促進にありますが・・・

この時、口腔内の pHが変化してしまったまま(口臭を引き起こす為に都合のよい pH環境)では、どうしようもない訳です。それを回復させるのには時間がかかります。そして、恒常性が働かなければ、口臭は、より強くなります。


1日における口の中の pH の変動

では、実際に、口の中の pH はどのようになっているのでしょうか?
この図は口の中の pHがどのように変化するかの図です。
おおむね、唾液は、常に中性の状態であるように、恒常性が保たれています。
食事したり、間食するたびにpHが低くなるのがわかります。
そして、それが元に戻るためには、少し時間がかかります。
自臭症の日常生活のパターンの記録を取り、口臭との因果関係を比較すると、ガムの摂取や、洗口液の使いすぎ、飴の取りすぎ・・などによる 不規則な pHの変動があります。

そのたびに、またガムを噛んだり飴を舐めたりしておられます。
ところが、これは却って、口の中をすっぱくし、新たな口臭の引き金になります。
このような口の中の酸性化は、口臭にとって最大の敵なのです。


私は、実践の経験から・・特に「自臭症」の方の、食後すぐのブラッシングやうがいを禁じています。
それでなくても、少ない唾液を、食後に比較的豊富にある唾液すらも洗い流し、結果として、すぐに口腔内乾燥と、新たな口臭の発生、本来あったはずの恒常性の機能を悪くするからです。
食後すぐにうがいすると、唾液の少ない人は、十分 pHが回復しないまま、唾液不足に陥ります。


さらにその後、口の中を不快に感じて、飴や清涼剤を使うと、いっこうに pHは回復しないのではないかと思います。

もちろん唾液量の豊富な人は、食後直後のブラッシングは意味があると思いますが・・・・

ほんだ式とっておき情報
自分自身で積極的に恒常性を取り戻せ!

私は、口臭患者とりわけ、「自臭症」患者の訓練法の一環として食後の「唾液磨き」を導入しています。
一見汚いように見えますが・・・

上の図を見てわかるように、食後に唾液磨きを行なうと、まだ、唾液分泌を促進する副交感神経が働いているので、比較的ブラッシング刺激により唾液が出やすい、また、唾液による、口臭原因物質の希釈が進む・・、ということで、たとえ水洗しても、口の中は再び唾液に満たされる。ちょっとのブラッシングで pHの回復が早くなる。

衰えている唾液分泌機能そのものを高める。その結果、自浄作用と、恒常性維持の機能がすぐに立ち上る。
お金が要らない。(経済的) どこでも出きる(TPOを選ばない)。


自然の、本来の力を信じることです。

この原理を積極的に取り入れ、口腔本来の唾液の機能を回復させ、口臭を解決する方法が、後述の「自律的唾液分泌促進機能訓練」にとり入れられています。

ほんだ式とっておき情報
門外不出の
裏技

注意
緊急非難的テクニックです。乱用は避けてください。!!

口臭を感じた時、食後すっぱい不快な感じで口臭を感じるとき
「胃散(大田胃散のようなもの)」1回分をコップいっぱいの水で薄めます、これでうがいしてください。または、うがい後に何もつけないで、ブラッシングしてください。

その理屈は。
胃で、げっぷが起こる原理と、口臭が起こる原理を考えてください。「胃」に起こる不快症状と「口」で起こる不快症状を比較してみてください。げっぷや、胃からの嫌な臭いはすぐに消えます。「胃」と「口」は相同器官です。

「胃散溶液」でうがいすると、たちどころに、pHは復帰します。口の中が爽快になります。一気に、口臭は撲滅されます。

しかし、「胃散」が胃炎に対し対症療法的ですから、この方法に依存すると「口臭」の根本的解決にならないことを銘記してください。

「口臭」を抑制するという目的で、洗口を行うことには、一時的な効果があります。

しかしその後に口臭が起こるのは、唾液側要因としては、唾液量の不足と、その質によるもので、結局は根本的治療が必要になります。