歯医者は、儲かるのか?
前編
(歯医者になるための投下資本)




患者さんから、「先生達は、いいね よう儲かってますやろ」 と言われることが、しばしばあります。
世間の人達は、医者や、歯医者は、=社会的ステータスがあり、お金持ちというイメージがあります。もっとも最近は、そのステータスも地に落ちた感じもします。

私も、かってそう考えていました。

むかしは、大学受験の時、「医、歯、薬」と言われたものでした。子供たちの将来なりたい職業の上位をを独占していました。それだけ、子供や青少年に夢と希望とあこがれを与えていたことになります。

最近、子供たちの人気bPは、ゲームクリエーターだそうです。お医者さんや、歯医者さんは、ズーと下の方です。
子供たちは、機を見るに敏、本当によく見ています。

最近、松田聖子の「びっびっびー結婚」で結婚相手の若手歯科医の高収入や、リッチな生活ぶりが報道され、女性週刊誌を中心に結婚相手には歯科医と言う記事が出て、歯科医の人気が急浮上していますが.....ほとんどのまともな歯医者さんは首をかしげています。

やっぱり、歯医者は、儲かるんだ。とお思いの諸兄あるいは、歯医者は、儲かると思って受験してみようかなと、思っていいる受験生諸君に、その収支面から見た歯科医の実態に迫ってみましょう。



まず、歯医者になるためには、お金がかかります。前編は、投資編です。

歯医者になるための投資


歯学部の約9割は私立大学にあります。つまり、歯医者さんが10人いれば、9人くらいは、私立大学終身の先生と言うことになります。

これは、歯科教育が私立大学に委ねられてきた歴史的背景があるためです。私立の歯科大学は、日本の歯科に大きく貢献しつづけてきたわけです。

以下に、私立大学における、入学時にいる最低限の費用と年間の授業料を見てみましょう!

ここにあげられている大学は、いずれも伝統ある私立名門大学です。

初年度納入学:合格した年に必要な納付金
授業料:毎年必要な授業料(私学の場合)
合計:留年することなく6年間で卒業した場合の最低限必要な費用で、書籍費や、実習費用は含まれていません
単位は、円

大学名 初年度納入額 授業料 卒業までに
納入する
合計額
北海道医療大学  9,365,000 3,900,000 28,865,000
岩手医科大学 9,780,000 2,500,000 22,280,000
奥羽大学 9,540,000 3,500,000 27,040,000
明海大学 9,622,000 3,500,000 27,122,000
昭和大学 10,023,500 2,500,000 22,523,500
日本歯科大学 8,935,000 4,500,000 31,435,000
東京歯科大学 9,457,000 3,000,000 24,457,000
日本大学 9,800,000 2,500,000 22,300,000
神奈川歯科大学 9,280,000 4,100,000 29,780,000
松本歯科大学 11,255,000 3,850,000 30,505,000
朝日大学  9,569,380 3,500,000 27,069,380
鶴見大学 9,973,500 3,500,000 27,473,500
大阪歯科大学 12,640,000 4,000,000 32,640,000
福岡歯科大学 11,300,000 3,500,000 28,800,000
平均 9,941,270 3,450,000 27,191,540


つまり、私立の大学で、歯科医の資格を取ろうとすると、その他、諸経費をあわせ、少ない目に見積もっても、みかん箱に1/3から半分くらいの一万円札が要ります。(最低4,000万円くらい)

では、この金額は、高いかと言うと決して高くありません。私立大学は、文部省から更に補助金の支給をうけ、さらに卒業生からの支援によって、足りない資金を埋めているのが実態です。
国公立大学は、全額公費で賄っているだけです。

つまり、一人の歯科医を養成するには、4−5,000万円はかかります。経済面だけを考えた場合、その費用を自分で出すか、公費で出してもらうかが、私立と国公立の差ということになります。



国立の場合
国立大学の場合は、学部に関係なく一定です。
単位は円

初年度納入額 授業料 合計
国立大学 744,200 469,000 3,089,200


まず、歯医者さんになるためには、これだけの最低費用と6年間、プラスほとんど無給の研修期間1年の年月を必要とします。

例外的な場合として大阪大学のように一部の大学では、学士入学制度を設けています。
すでに、4年制以上の大学を卒業後、実社会で実務をつんだ人が、その能力と経験を歯科に反映させる趣旨の制度です、この場合選抜試験により専門部に飛び級し4年間で、卒業できます。収入がなくなりますので、留年しない限り、学費は免除または、減額されます。私は、この制度をおおいに利用しました。ありがとうございました、納税者の皆様。決して、無駄にいたしませんので...

ただ、学士入学制度が有効に機能しているかは、今後の評価を待たねばなりません。

まとめ


ここに挙げた、必要経費は理論上の最低費用です。実際は、歯科大学に合格したとして、いったい何割の人は6年で卒業できるのかというと、せいぜい多めに見積もって、半数です。留年したからと言って授業料は、負けてくれません。中には、12年もいく つわものもいます。

無事卒業できたとしても、国家試験が待ち受けています。落ちれば、ただの人です。
さらに、下宿しようものなら、月々15−20万は必要となります。

私立大学に入学した場合は、最終的には 4−5,000万円くらいはかかるわけです。
では、国公立大学はどうかと考えると、入学試験の偏差値競争に打ち勝つために、進学校への入学準備や塾だの家庭教師だの、それまでの教育費に膨大な資本投下と子供らしい生活を犠牲にしなくてはいけません。

中には、自力でお金をかけずに、苦学して、受験競争に勝ち抜いてきた二宮金次郎みたいな秀才もいますが、ごく少数派です。

これだけの投資をしてさらに、後々の、生涯所得を考えるとそれまでの投下資本が回収できるのでしょうか?


結局は、歯科の場合、お金儲けのためにする仕事と考えると、割に合わないことが見えてきます。

それでも、やっぱり歯医者は、儲かるんじゃないのという貴方は、後編をご覧ください。


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