ええかげんにせんかい!
ちょっとゆっくり、さして〜な



夕方からの忙しさ...

たまりませんな!ま〜贅沢な悲鳴でしょうか!

いくら患者さんのためと言っても

私にも、人間として、いや、生物としての

最低限の基本的権利はあるわけで....



院長というのは、いつもいなければ、みんなの気が済みません。

時々は、休憩したり。トイレも行きます。

人間ですから.......


びろうなお話ですみません。でも、深刻なんです。


ひとたび、医院に入り院長仮面をつけると

プライバシーはなくなります。

ドクターのトイレは2階にあります。

診療中は、催してきても.....うん、あれです......


我慢してます。....


大概は、そのうち納まります。

でも、おっきいほうは、そうは、いかないんです。

大腸のぜん動運動にあわせて

周期的にビッグウェーブがやってきます。


ディープ・インパクトというやつです。




治療のきりいいところで、す〜と、診療室から消える。

だまって、雪隠ごもりです。

<いちいち、言わないでしょ!ふつ〜>

ほっとする一時なんです、階下の騒音を聞きながら

大義名分を持って休める一時だからです。


しばらくすると、階下から「いんちょ〜」の叫び声

だんだん間隔が早い「いんちょ〜!!おねがいしま〜す」

<ちょっと、まてや〜、何回も呼ぶな!!>

こうなると、ど〜でもいいという気になります。

たとえ、地震が揺ってもええよ。って感じ

「いんちょ〜!!いんちょ〜!!」

<うるせ〜うるせ〜うるせ〜うるせ〜>

....切りがよければ問題ないのですが...

こういうときに限って..切りが悪い...


しびれを切らしたのか

ドタドタドタドタ階段を駆け上がる音

これは、由比薗さんの足音

"あしお〜と だけ〜で〜あなたが わか〜る”

ガラッ!!(院長室の扉を開ける音!!)

「あれ〜!??」

<ざま〜みろ!!>



「院長!!トイレですか?」(トイレのドア越しに)

「そやがな〜ゆっくりさしてよ〜」(私、現在進行形のまま...)

一枚ドアを隔てて由比薗さんがこちら向きに大声で喋り捲る

<トイレのドアが透明でなくてよかったよ...>
<それにしても、おやじとしゃべってるんじゃないんだから>

「あのね〜歯周病の定期管理を
行なっている○○さんなんですけど... 」

「ふんふん」

「....で....なんですよ〜それで
....なんですけど....どうします?」

<説明が長い!! 依然進行形>

「いまな まっさいちゅうやで!
ちょっと、まっといてもうてな〜」

「はいはい、はやくでてきてください!」

「は〜い!!」

<まだ、3分しかたってないやん!!>


と..入れ違いに..ドスドスドドスと階段の音

<これは、松村(副院長)やな、さぼらんと、仕事せんかい!>

....と思いきや。突然向きを変えた!!

嫌な予感!!2度ある事は3度ある!

マフィーの法則

ガラッ!!

「あっ!すみません!!はいってたんですか!」

<なに するねん!ノックぐらいせんかい>

<あーーやる気失った。いまのんで、完全に、ひっこんでしまった>

松村慌てる、院長の権威失墜....

さ〜て、終わりにしようとしたら!!

恐怖!!ペーパーがないではないか!!

ピンチ!!!

松村も下へ降りたし.....群衆の中の孤独....


でも、ご安心をば......

備えあれば憂いなし。

非常時に備え、ズボンのポケットに忍ばす携帯電話...

かくして、医院のトイレから医院の受付へ電話...



「はい、ほんだ歯科ですか?どうなさいました?」

<この声は、秘書の田中さんだ。ふっふっふっふ>

「あの〜今、ビルの5階から落ちて前歯が全部折れて痛いんですけど〜」

「いんちょ〜でしょ〜。止めてください!いそがしんだから〜」

<しょちゅう、いたずらするんで、すぐばれる!>

「いま、上のトイレにおるんやけど!!
紙がないから、至急持って来て!!
トイレの整備は、秘書の仕事やろ!!」

「院長、後の背中の棚をみてください!!」

「あ〜、あるある」

「も〜〜〜」

かくして、一件落着

ごく、ふつ〜の人々がふつ〜にされることも

ここでは、スリル満点のドラマになります。

こういった事は、院長に限ったことではありません。

どの職員も似たような経験を持っています。

ひとたび、ユニフォームに着替えると

気の休まる暇がないのです。

笑ってすむのですが、毎日のことになると深刻な問題になります。

最近は、トイレの時は、両主任に告げて行くことにしています。


何で、トイレいくのに、いちいち言わんなあかんねん!



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