【Q1歯磨きは、起床直後・寝る直前・緊張したときにすれば、食後にはしなくともよい、ということですが・・・・】
起床直後と寝る直前は歯周病菌や虫歯菌などの細菌コントロールとして行い、食後は食べ残しを取り除くために行うのが目的です。食後の歯磨きは豊かな唾液の損失を防ぐために軽く行うといいでしょう。また、食後はなるべく界面活性剤の影響を残さないために、何もつけないで水と唾液で磨くといいでしょう。
緊張した時は口腔内緊張緩和のために行ってもいいと思いますが、唾液は少ないのでやりすぎるとさらにその後、口腔内乾燥は進む可能性があるでしょう。したがって、物理的刺激で唾液分泌促進効果を狙うくらいで、大した意味はないでしょう。むしろ磨きすぎてさらに口腔内乾燥を助長しないような方法で行うべきです。
緊張した時は水を軽く含むか、ガムを噛む方がいいと思います。さらに、緊張時は唾液が少ないので市販歯磨きを使うと界面活性剤の影響で口の中は歯磨き臭くなり、不快を進めてしまうこともあります。
【Q2食後食べたものが付着してそこに歯周菌が増殖して臭いや虫歯の原因になることはないのですか?】
食後はたくさんの唾液があるために、細菌が増殖できない。(最も、口腔内の細菌レベルは低い)、しかし、食べ残しがあると唾液によって分解を受け口腔内は酸性に傾くので虫歯になりやすくなるし口臭を引き起こしやすくなるからです。したがって、食後の歯磨きのコツは、食べのこしを取る事が目的であることを意識すること。
同時に、食べのこしは舌表面にも多く存在するために、食後は舌も磨く必要がありますが、このときに器具は使用せず、食後直ちに水を口に含み舌の表面を口の天井部分にゴシゴシして味や臭気が消失するまで行ってください。
【Q3歯周菌とミュータンス菌とはどう違うのですか?】
歯周菌とミュータンス菌は全く異なる菌です。ミュータンス菌は虫歯の原因菌で口の中の食べ残しのなかに糖分があると分解して酸をつくります。この時に水に溶けにくい皮膜を作り歯の表面に定着してしまいプラークを作ります。その中で酸を作り出すために歯のエナメル質は酸によって溶かされていきます。したがって、口腔内を酸性にする事や糖分を口の中に残す事は、ミュータンス菌の活動を活発にするのでよくありません。 歯周菌は歯の周りの歯肉溝という所に住んでいて、歯周病を引き起こします。この菌は酸素を嫌う菌(嫌気性菌)で口臭を引き起こす最大の菌になります。 しかし、虫歯菌や歯周菌の多くは健康な人の口にも常在しており、とりわけ歯周菌は子供時代には口の中にあまりいませんが、年齢と共に増加していく菌です。 通常は物を食べたりしゃべったりしない時も安静時唾液の豊かな酸素と殺菌作用によって活動が抑えられていますが、ストレスなどをかかえるとこの唾液は嫌気的になり歯周菌の活動を活発にしますし、同時に唾液による自浄作用や殺菌作用が低下していくので、虫歯を促進させていったり、歯周菌などの菌の活動を活発にするので口臭を引き起こしたりするようになります。
【Q4私は長い間、食べ物の糖分やら何やらが歯に付着して歯を溶かし、臭いの元になるのだと思っていました。
食べカスや糖分が直接歯を溶かし、臭いを起こすのではなく、「それらが歯周菌を増加させること」がそういうことを起こすのだと理解すればいいのですか?】
そのとおりです。食べかすや糖分が細菌類のエサの原料となり分解が進む過程で酸を産生します。 また、口腔内唾液にはアミラーゼなどの消化酵素も含まれているので、口腔内では消化酵素による分解も遅れて起こり、その結果、酸が産生されます。
例外的にネギ類や香辛料などはそれ自体に臭気物質が含まれており、口の中に残ってしまった食べ物の残渣から直接臭気がする事もあります。したがって、食後の歯磨きは食べカスを取る事を目的とした磨き方が重要です。
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