口臭についての考察
世にも不思議な口臭外来
世の中には、「何とか外来」という専門的な外来がいくつもあります。「外来」という意味は、病院に入院しないで通院して治療を受けるという意味です。したがって、通常は大きな病院などで使用される呼び方で、通院専門の科ということになります。一般歯医者の場合は、常に外来ですから、たいした意味はないのですが「口臭専門治療」という具合には、標榜できない規制(広告規制)があるので便宜上「口臭外来」としています。
「アトピー外来」の患者はみんなアトピーの患者で、検査をすると検査結果はアトピーであることを示します。「不妊外来」は不妊症の人ばかりがやってくる、そして、検査では「不妊症」という診断を受けます。外来では、それぞれ特殊な疾患に対して、専門医がいて専門的な治療を行うのが普通です。そして大半の患者は満足のいく結果を得ることができます。 「口臭外来」は歯科にあるのですが、「世にも不思議な外来」です。来る人の大半に、いわゆる、会話(問診)などでは決して不快な口臭を認めない人がやってきます。 患者が訴えない限りは、口臭のある人とは思えない人ばかりがやってきます。検査してみるとさらにびっくり、下の表は ほんだ歯科口臭外来を訪れた約800人の初診時の検査データです。通常、不快な口臭のない一般の人たちのハリメーター(世界的な標準機である口臭測定器)の値は100~200 ppb で、200ppb以上であれば歯周病などが原因の、他人に対して不快な口臭を持つ人が多いです。このデータをみると、口臭外来にやってくる大半の人は、一般の人たちよりも遥かに低い検査結果になっているのです。 しかし、一見口臭に問題がないように見えるのですが、他の見地から調べると、口臭を引き起こす原因は必ず見つかります。大半の患者は何年も口臭で悩み、ほんだ歯科にやってきます。ほんだ歯科以外では、治療対象にならない人たちであるし、他ではスタンダードな治療方法も確立されていません。なのにどうして、口臭専門治療なのか不思議ですが。口臭の基礎研究者たちは、これらの人たちを精神病扱いするか、「誰にでもあるから」と気休めにならない説明で切り抜けようとします。この説得をカウンセリングと勘違いしています。それはカウンセリングではなくて、洗脳に近いかもしれません。挙句の果てには、「治療の必要性のない口臭」と定義してしまうので、一般開業医まで混乱します。したがって、一般開業医は、誰も口臭治療に手を付けなかったのです。 患者が治療を必要として専門外来を受診しても、診断の結果、治療する前に「治療する必要性はない」と判断し門前払いしなければいけないとすると、開業医は信頼を失墜するだけだし、儲からない上にうっとうしいだけだからです。 これらの、口臭治療を本当に必要とする人たちにとっては、ほとんど意味のない口臭測定器で口臭ガス測定をして一般歯科治療をすることが口臭治療であると勘違いしている口臭専門医がたくさんいるのは、結局、普通の人以上にきれいな息を確保したいと期待してやってくるハイセンスを持つ人たちに失望を与え、精神的問題を新たに作り出しているだけのように思えます。
最終的にあまり気にしすぎると、違う場所と時間では実際に起こっている生理的口臭も、精神的な幻覚と思われて「精神的に??」みたいな診断すら受けます。
このような、歯科における、現実離れした方針は、多くの歯科医たちも支持していることは、歯科系のホームページの口臭についての記載を見ればよく理解できると思います。
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