【口内炎ができた日くらいから舌苔がいつもより白く感じます。このような舌苔は舌をきずつけないように取り除いた方がよいのでしょうか?という質問に対して】
舌表面粘膜や口腔粘膜と呼ばれる粘膜は通常、目に見えるところにはありません。通常は見ることのできない臓器内にあります。粘膜でむき出しになっているところは他にありません。したがって、通常我々は見ることはできないのです。これらの粘膜の特徴は乾燥を非常に嫌うからです。乾燥すると粘膜としての機能を失い障害が発生するのです。しかし、口という特殊構造から、唯一目で見ることのできる内臓表面の粘膜が舌や歯ぐきの粘膜です。これらはれっきとした消化器粘膜なのです。つまり、舌の粘膜は、それにすぐつながる食道粘膜や胃の粘膜と相同の粘膜です。しかも、子供の粘膜は、大人の粘膜以上に繊細です。これが内科医や中医や東洋医学者の舌に関する考え方です。
もしあなたが、子供の胃の粘膜をティッシュや器具でゴシゴシやる勇気があるのであれば行えばいいでしょう。
舌苔は、内科的には、その状態によって消化器の状態や全身の臓器の状態まで診断できるものです。内科医はしばしば、舌の状態や目の粘膜を見て全身状態を見ることがあります。
内科的病変や変調が、目の粘膜や口の粘膜である舌に現れてくるからです。もしもアレルギーを引き起こし、その状態としての湿疹が顔の表面(これは粘膜以上に頑丈な表皮です)に現れた時に、その湿疹をティッシュでこすりますか?皮膚科医は、その湿疹ができるアレルギーを改善するでしょう。
決して湿疹が痒いからと言って器具でこすったり、あるいは、つめで引っかいて取れとは言わないでしょう。これが医学的根拠( Evidence-based medicine EBM )に基づく医者の治療です。
そんなことをしても、一時的なかゆみは取れてもアレルギーを治さない限りは、再び、皮膚に湿疹ができるばかりか余計にひどくなっていくからです。
湿疹を痒い時にかきむしって、取り除くという方法が、、舌苔に対する舌苔除去ということです。医学的知識のいない人や、皮膚科にいくのが嫌な人は、湿疹を血が出るまで掻き破るでしょう。
同様に医学的知識のない人は、血が出るまで舌をみがいて舌苔を物理的に取り除こうとするでしょう。
こうして、口臭に対する民間療法として、果てしなく習慣的に舌苔を取り除くことを行ってきましたが、果たして、この方法で抜本的解決ができた人はいるのでしょうか?
ちなみに歯科医や口臭の基礎研究者は舌苔除去を推奨しています。ただ違うのは、丁寧にやさしくやれということが違います。ちょっとだけ素人よりは医学的です。 口内炎ができた理由、すなわち、一時的な口腔内免疫を低下させた理由がなくなり、再び健全な咀嚼能力と口腔衛生習慣と口腔生理能力復活すれば、勝手に、舌はきれいになるでしょう。
それを待たずに、物理的に取り除いた時には、よほどソフトにしなければ、舌表面はダメージを受けそれを修復しようとして、もっと舌苔がつくはずです。それ以後大人になるまで、死ぬまで習慣として舌苔除去を行うようになるでしょう。(子供は学習するからです。)
舌苔除去というのは、口臭があるのは当たり前として認めて、時々気になる時は、物理的に取り除き続け、周りへの迷惑をその都度防止する、対症療法的(口臭がひどくなるたびに行う)口臭抑制方の一つで、歴史的に古くから民間人が行ってきた迷惑防止方法です。
子供の口臭と歯磨き粉
【掲示板で本田先生の指導をうけ、イソジンのようなうがい薬でのうがい後、歯磨き粉を付けないでの歯磨きをさせ、様子をみていたら、子供の口臭が消えました!という母親に対して】
子供の時から、界面活性剤の入った歯磨き剤やら、不自然な歯磨き習慣を身につけさせないことです。
本来子供には、唾液や自然な口腔内自浄作用があるのですから、意味のある歯磨き方法や、口腔衛生管理をすれば、すぐに、解決します。 子供の口臭を指摘してしまったときは、必ず責任を持つことです。親の一言が、その後のその子の精神的世界に影響を与えてしまうことがあります。
子供は純粋なのでおりこうな子供ほど、口臭を密かに気にしています。口臭がなくなったことを知らせてあげれば、その子の心理的負担は無くなり、自信をもってコミュニケーションすることができるようになります。20年30年と悩む、生理的口臭症を抱え込んでしまった成人の場合、最初のきっかけは母親による無責任な口臭の指摘である事が非常に多いのです。
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