唾液が臭い場合は、いかに歯科的な問題がなくても、口腔内乾燥が起こると自覚的な口臭や、口中の不快、他覚的口臭に発展することがあります。
唾液が臭くなる理由はいくつかあります。
1.口腔内に歯科的な問題がある場合
口腔内に虫歯や、歯周病、等の歯科的な問題があると、唾液には常に血液や膿などの炎症細胞、不良な組織等が含まれる為に臭くなります。
2.唾液の緩衝能力が低下している場合
唾液には、水以外のものが入ってきたらすぐに中和して、一定の口腔内環境を維持しようとする緩衝能力(中和能力)があります。 この能力が低下していると、唾液は常に酸性となり、口腔内の微生物環境が悪化して臭くなります。また食生活習慣や飲食物の嗜好などによっても大きく影響があります。
3.舌磨き習慣などによって、舌粘膜や口腔内粘膜に損傷がある場合や、口腔内過敏がある場合 舌磨き習慣のある人のたいていは、唾液が非常に汚いです。かつ臭いです。
理由は、舌表面の繊細な舌乳頭の大半が破壊を受けているために、剥離した粘膜細胞や、傷ついた舌表面粘膜から分泌される漿液が常に唾液に混じっているからです。
舌を磨く限り、唾液の状態はよくなりません。その結果口臭は慢性化するので、死ぬまで気になるたびに、舌を磨き続けなくてはいけなくなります。
4.舌表面や口腔内粘膜に飲食物の残渣がある場合
口腔内に常に、飲食物残渣のある人は、口腔内のpH環境が悪化すると同時に微生物環境も悪化します。
5.極度の精神的不安が持続する場合
無口な人や、いつも口腔内を緊張させている人(スマイルの少ない人)などは、安静時唾液が確保出来なくなり、口腔内の安静時唾液による自浄性が悪化して唾液の状態は悪化する結果、唾液が臭くなります。
6.内科的疾患のある場合
内科的疾患があれば血液性状も変化すると同時に唾液性状も悪化して不良な代謝産物が含まれるようになりくさくなります。
7.サプリメント・ビタミン剤・薬物の影響
このようなものは、過剰に摂取すると臭気物質自体が唾液に混じる為に臭くなります。
8.強い臭い物質を含む食べ物をとった場合
9.耳鼻科的要因などによって咽頭や舌の奥の部分に慢性的な炎症を抱える場合や、後鼻漏がある場合 などがあります。
なお、これらの正確な診断は専門的な検査が必要になります。
もう少し整理して、対処方法も説明すると以下のとおりになります。
A.臭い物質が唾液に含まれる時
● 歯科的な問題があって、血液や、炎症成分(膿など)が含まれる時 →歯科治療を受けてください。
● 食物残渣などが口腔内に残っているケース →「飲食後の口腔内ケアー」を口臭対策室にある方法で行ってください。
B.唾液自体の問題がある場合
● 性状が悪い場合・・・舌磨き習慣などがあり、常に唾液中に舌表面粘膜の剥離細胞などが含まれるケース。
この場合は、いかに歯科的問題がなくても口腔内乾燥が起こると、唾液の臭気が口腔内に充満します。 →舌磨きをやめ、機能的に舌の改善を図ることが必要です。
● 性能が悪い場合・・・唾液の緩衝作用、殺菌作用、恒常性維持機能が低下している場合。 →咀嚼訓練、唾液分泌訓練を繰り返し、唾液の新陳代謝を図ることが必要です。
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