- 口臭とその治療にまつわるトピック
- 欧米とアジアにおける口臭に対する考え方の違い
- 嗅覚の不思議
- Excellent Breathとは何か?
- Fresh BreathとExcellent Breathの違いについて
- キスする位置で無臭を作り出すことについて
- 唾液は臭い?
- 他人の客観的評価を受け入れられないということ
- しぐさはどうして気になってしまうのか?
- 口臭症から離脱する時。しぐさ及び人の評価をどう解釈するか?
- 口腔の乾燥と皮膚の乾燥、そして口臭
- 口の中の乾燥と喉の乾燥と安静時唾液流について
- 中学から高校生の頃の口臭問題
- 口臭と不登校・受験の悩みについて
- 面接試験と口臭
- 膿栓とは何か?
- 口臭治療における「パラパラ」
- 他人に口臭を指摘する
- 他人の口臭についての対策
- 市販口臭チェッカーについて
- 自分自身での口臭の客観的評価
- 臭気の距離
- 口臭治療における抗カンジダ薬治療に対する私の見解
- 一般歯科的問題がないのに気になる口臭
- 胃と口は連結した消化器
- 自宅でできる確実な官能検査方法について
- 欧米人との口臭に対する取り組みの差について
- 女性はなぜ口臭に悩みやすいか?
- 口臭は移るか?
- 口臭にまつわるコミュニケーション阻害はどうしておこるのか?
口臭とその治療にまつわるトピック
欧米とアジアにおける口臭に対する考えの違い・・・誰が最初に口臭を最初に医学的に考察したか?
もしも、小さい時から、起きてすぐや、できかける時や、帰宅した時や、就寝前に家族中でキスしたり、抱擁しあったり、職場でも抱き合ったり、一日に何回も握手したり、また、会話の前に必ずスマイルが要求され習慣があれば、自然のうちにどうすべきかを生活の中から学習していくし、マナーとして身に着けていくでしょう。それが、風習や文化ではないでしょうか?
アメリカの口臭クリニックでの患者の訴えでは「キスした時に相手が、嫌な顔をした」とか「キスした時に臭そうにされた」と言うレベルです。日本だったら、そんな近いところの息は誰でも少しはするから気にするなといわれるでしょう。欧米では、会話距離で臭い人なんて論外なのです。 まず口に対する意識がまったく違うでしょう。スマイルをとても重視します。スマイルは、最も口臭が起こりにくい状態です。また、歯磨き習慣や、チューイングの習慣に加えて、欧米ではブレスケアーをシステム的に行う製品がたくさんあります。先日のニューヨークのオーラルショップを視察した時は、ホワイトニング関係とブレス関係の製品はほぼ1:1でした。洗口液にしても、日本では考えられないくらいたくさんあるし、巨大なボトルに入った物まで売られています。しかも内容成分は、日本ではとても販売できない過激なものも多いです。ガムにしても、日本とはまったく違うがガムばかりだし、種類も豊富です。また、喫煙自体も非常にシビアに制限されています。 欧米では、キスする位置の息が臭いことは、もっとも忌み嫌われることで、「口臭がある」と言うこと自体を言うことがタブーになっていると聞きました。 しかし、日本人は昔から、他人の口臭には警戒しています。反対に自分の口臭も気にしています。他のアジア人にも似た考えがあります。なぜでしょうか?口臭があることを忌み嫌う宗教的思想を持っているからです。大枚をはたいて、漢方医の治療を受けることのできない、知識もない庶民は大昔から口臭が気になる度に舌を磨くしか方法がなく、悪戦苦闘してきたのです。お金持ちは、漢方医に舌を診断してもらい適切な治療を受けることもできたのですが・・・ 仏教国では、欧米人に比べて体臭や体臭に対しておおらかなのかと言うと、決してそうではありません。仏教では、釈迦は体臭や口臭は、心身が穢れていると説いたのです。したがって、体臭に対しては焼香して心身を清浄します。食生活も体臭が出ないように工夫しています。口臭に対しては非常に厳しく、仏門では口臭があることは汚らわしいと考えられ、お寺でも「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」と書いてあることがあります。 仏門に入るものは、体臭や口臭は許されなかったのです。葷(くん)はニンニク臭やニラ臭を言います。酒は酒臭い口臭を言います。 現在でも格式の高い寺院の仏教儀式では、口臭を消す特殊な木の実を口に含んで口臭を消す事を仏事として行います。(秘仏公開の儀などでは、必ず行います。ずっと口臭を消す木の実を口に含むのです。)
この仏陀が最初に考案した歯ブラシは瞑想にふけった菩提樹から作られたために、その木は「歯木」と呼ばれ、サンスクリット語では「デンタカーシュッタ」と呼ばれたのです。
仏陀の教えはやがてシルクロードを通じてヨーロッパに伝えられ、発展して異教徒である西洋で歯科学が生まれました。歯科が「デンタル」と呼ばれる語源は釈迦が悟りを開いた木の名前に由来しています。
釈迦は古代インド医学(アーベルユーダ)の医師でもあったので、口臭は口腔内や内科的問題だけでなく精神的な問題にも関係していることを医学的に知っていたのです。 この釈迦の教えは、皮肉にも異教徒の方が守っているし、デンタルと言う歯科学に発展させたのも異教徒ですから、彼も浄土でさぞかし苦笑していることでしょう。 ひょっとすると、欧米におけるキスの習慣は、相手の心身が穢れていないことをチェックするために始まったのかもしれません。 |